中国AI半導体メーカー、トップと差縮める-センスタイム共同創業者
(ブルームバーグ): 中国の人工知能(AI)企業、商湯科技(センスタイム・グループ)の共同創業者、徐冰氏は中国国内のAI半導体メーカーが海外のトップ企業との差を急速に縮めつつあると述べた。
徐氏は香港で開催されたUBSアジア投資会議でのインタビューで、アジアではAI向けの計算能力が不足しており米国に大きく後れを取っているが、中国は巻き返すための人材とデータを有していると語った。中国AI分野の草分けの1社であるセンスタイムは既に米政府が禁輸対象とする「エンティティーリスト」に追加され、主要な米国のサプライヤーや技術へのアクセスが禁じられている。
中国のAI分野での進歩は、米国の通商規制によってエヌビディアの先端AIアクセラレーターの輸入が妨げられているため、より困難になっている。このため華為技術(ファーウェイ)や上海壁仞智能科技(ビレン・テクノロジー)などの代替品の需要が急増している。ファーウェイとビレンも米通商規制の対象とされている。
徐氏はブルームバーグのデビッド・イングルズ氏のインタビューで「概してアジアではリソースが不足している」とし、「米国のトップ企業と比べると、計算リソースは10倍も違う。しかし才能とデータに関してはアジア市場は決して不足していない」と語った。
徐氏はまた、国産半導体はトップ企業の製品に急速に追いつきつつあり、センスタイムは国内半導体企業に協力し、こうした企業の計算能力向上に取り組んでいると説明した。具体的な企業名は挙げなかったが、ファーウェイは昨年、米国の規制がある中でも独自のスマートフォン向け先端プロセッサーの開発に成功し、世界的な半導体開発競争に直面する中国政府にとって最も重要な企業となった。
徐氏は現在、中国が米国にどの程度後れを取っているかについて、人によって1年とも3年とも言われており定かでないとした上で、「計算はコモディティーであり、長期的には格差にはならないだろう」と指摘した。