生きづらい時代に勇気を ── ジャーナリスト・はに丸王子の挑戦
はに丸くんだけが聞ける「本当のこと」
はに丸くんの質問は、私たちが知っているニュースキャスターやリポーターのそれとは全然違う。大人のレポーターならスマホの新製品を見て「この製品で何ができるようになるんですか?」「これは便利ですね! 生活が一変しそうですね?」といった質問やコメントをする。 しかし、はに丸くんの質問はこうだ。「便利って必要なの?」「人は幸せになったのかなぁ?」。 大人のレポーターがそんな質問をすると、質問を受けている企業の担当者は機嫌を悪くするだろう。ところが、はに丸くんが質問すると、大人はたじたじながら、真面目に答えようとする。これがはに丸くんの質問力だ。 スマホによって生活が便利になる一方で、依存症があり、ながらスマホと呼ばれる問題は家族の団らんを阻害しているかもしれない。私たち大人は、日々のニュースに接しながら「これだけ便利にはなったけど、何か大切なものまで失ってしまったのでは?」と考えることはあまりない。 どうして、大人はそんな質問を人にも自分にもしなくなってしまうのだろう? プロデューサーの河瀬大作さん(45)はこう説明する。「大人は『そういう世の中だから』『そういうものだから』と人や自分をごまかしてきたのかもしれない。そのごまかしのなかに自分が組み込まれてしまっていて、『いまさらこんなこと、人に聞くと恥ずかしい』と、質問する前に自制してしまう」。 しかし、子どもは空気を読まない。自分が感じた疑問を真っ正直にぶつける。子どもが持つ無邪気な質問力で、社会が抱える問題をあぶり出す。「はに丸ジャーナル」の見どころはそこにある。 はに丸くんは、ロスジェネのお友だちに代わって「本当のこと」を聞いてくれ、「本当のこと」に気づかせてくれる強力な助っ人なのだ。河瀬プロデューサーは「インターネットの反応を見ていると放送前から『はに丸なら本当のことを聞いてくれるのでは?』という強い期待を感じる」と話す。