会社あてに借金の催促が届いたら、もう終わり?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
「会社の業績が厳しくなり、終わりが見えた頃に見える兆候がある」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。会社が倒産してしまうとき、「会社のお金」に起こるシグナルとは何か?今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。
■謎の決算書が出てくる、突然業績が良い決算書・試算表が出てくる
基本的に、決算書はひとつの会社につき一種類しかありません。そう、基本的には。でも、借り入れのところで解説したとおり、金融機関は原則として決算書で融資の可否を判断します。ですから、社長は最後に手を付けてしまうわけです。決算書の「偽造」に。いわゆる粉飾決算というヤツですね。 いまもいるのかもしれませんが、大昔はあけっぴろげに決算書を複数つくっている中小企業がままあって、「これは銀行用」「こっちは税務申告用」みたいなズルをしていた社長も結構いたんだとか(ズルというか完全な違法行為です)。 金融機関には、当然良い業績の決算書を提出して融資を引っ張る。例えば、売上の架空計上とかですね。ありもしない売上をでっち上げるやり方。 一方で、そのまま好調な決算書で税務申告してしまえば、税金もたんまり取られる。だから、申告用には赤字決算か収支とんとんの決算書を出して、納税を免れる......なんて脱法行為を行っていた社長がいたんだとか。 当然、税務調査が入れば一発アウトです。違法行為ですから、これは救いようがありません。 そういうわけで、ずっと赤字決算が続いていたのに、急に黒字決算。つまり突然業績の良い決算書が出てくると金融機関の担当者は疑うそうです。「あの赤字企業が、突然業績良くなるか...?」って。もしかしたら、それは粉飾決算なのかもしれません。
■督促の通知、内容証明郵便が届き始める
さあ、いよいよ末期の話。 支払いが滞れば、当然督促がきます。最初はメール、電話。次に郵便。社長あての「親展」なんて書いてある封書が届きはじめると、雲行きは怪しい。ここまで来ると、あらゆるものの支払いが滞ってきているはずです。 家賃、外注費、各種の保険料、税金 etc......最初は相手もそこまで強烈なことをしてこない。でも、支払いがまったく行われなかったり、あるいは電話に出ない、メールの返事もしないなど不誠実な対応をしたりしていると、当然相手は次の手を考えます。それが、内容証明郵便です。 これが届くとなると、相手は臨戦態勢。金額によっては裁判も辞さないというスタンスになってきています。ここでよく聞く「内容証明郵便」についてちょっとだけ。