1100馬力の日産「GT-R」でガチテスト!「TOYO PROXES R888R」はプロドライバーも納得の出来でした「食わず嫌いはやめましょう」
連続周回でもタイムの落ち込みが最小限。長く楽しめる
まずは、井入宏之選手にPROXES R888Rを装着した車両を試乗していただいた。 「軽量のFFコンパクトスポーツで試したときは、構造的にケース剛性が柔らかいのか、グリップそのものは高いものの、ハイスピードの旋回時にタイヤが倒れてしまい、癖も強かったです。『これは手強いぞ』という印象があったため、さらに馬力も重量もあるR35GT-Rでもどうかな? という疑問を持ちながらコースインしましたが、コンパクトスポーツで感じたヨレも感じることなく、想定以上にマッチングが良かったです。もちろん、クルマとの相性もあると思いますが、いい意味で驚かされたのが第一印象です。 発熱も早く、インラップからしっかりとしたグリップ力が感じられ、すぐにタイムアタックに入れますね。また、ピークグリップからの落ち込みも少なく、ラップタイムの低下も最小限。パワーや重量に負けてフロントが逃げるとか、タイヤが滑り出すこともなく、コントロール下に置きながら10周くらいなら連続周回が可能なフィーリングです。さらに、GT-Rを速く走らせるために求められる縦方向のトラクションも安心感が十分あるので、グリップレベル、耐久性ともに高いと感じました。また、走行後の摩耗、表面剥離が少ないのも美点。路面温度41℃でこの結果なら十分合格点です。 同条件で他のタイヤと比較した訳ではないので詳しいことはいえませんが、R35GT-RとR888Rの組み合わせは相性がいいと言えるでしょう。現時点でこのレベルまできているなら、もう1歩踏み込んだ開発をしてくれれば、と期待。そうなればタイヤ選択は今以上に面白くなるはずです」 と井入選手は語り、好印象だったようだ。
1000psを受け止める高いグリップ力、他銘柄ともいい勝負できる好感触
次に塩津祐介選手には、PROXES R888RスペックDを装着した車両を試乗していただいた。 「表面グリップは相当高いのですが、そのピークは割と短いです。そのあたりはD1グランプリで勝つことに特化したタイヤだと感じました。1回目のアタックはセオリーどおりに走らせると岡山国際の3分の2を走ったところで、熱ダレしましたが、2回目は内圧をやや落としてアウトラップをゆっくりと走り、コース後半からスピードを上げてアタックすると約1周半は強力なグリップが得られました。内圧の上りも早めなので、タイムを出すには距離が長いほど、その特性を理解し、合わせこむことが重要だと思いました。 縦方向のグリップは1000ps級を受け止める余力はあり、サイドウォールは弾力がある印象ですが、横方向も斜めにGがかかった状態でも破綻することもなく、路面を掴んでくれるのでこれはタイヤの特性でしょう。また、ピークから一度落ち込むものの、そこからはずるずるとグリップ力が失われたり、アンダーがどんどんきつくなったりといった特性の変化も少なく、ある程度は一定のレベルで連続して走れる感触はあります。タイヤの摩耗も少なめで、タイムアタックを終えたあとは走行会で楽しめそうです。1000ps級のGT-Rでもきっちりタイムが出せ、合わせこめば他銘柄といい勝負ができる、そんな感触はありました」 と、塩津選手。ちなみにR35GT-Rのベストタイムは、フルチューン仕様の2020年モデルが1分34秒23、ブーストアップ仕様の2024年モデルが1分39秒43。シェイクダウン&気温25℃、路面温度41℃のなかで、これはかなりの好タイム。R888Rは、国産車でトップの重量級ハイパフォーマンスカー、しかも1000ps級のチューンドR35GT-Rのパフォーマンスを受け止めるポテンシャルの高さを見せつけた。 「食わず嫌いは止めてくれ!」というのはプロクセスアンバサダーである木下隆之選手がTOYO TIRESを語るとき、われわれに語るセリフ。今回の結果に新たなサーキットシューズの選択肢に加える実力があると確信した。
山崎真一(SHINICHI Yamazaki)
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