「死とは、モーツァルトが聴けなくなること」。音楽を愛したアインシュタインのエピソード【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
モーツァルト『交響曲第40番』 死とは、モーツァルトが聴けなくなることだ……
今日4月18日は、「相対性理論」で名高い20世紀最高の理論物理学者、アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)の命日です。 そのアインシュタインが残した数多くの名言の中でもひときわ印象的な言葉が、「死とは何か、それはモーツァルトが聴けなくなることさ」という一言でしょう。 音楽好きとして知られるアインシュタインは、自らもヴァイオリンを演奏。昨日ご紹介したピアニストのシュナーベルとは親しい友人関係にあり、一緒にアンサンブルを行っていたことも有名です。一説によれば、演奏中頻繁に拍を間違えるアインシュタインに呆れたシュナーベルが「君は数も数えられないのか」といじったという楽しい逸話が残されています。さすがのアインシュタインも万能ではなかったようです。 その彼が愛したモーツァルトの音楽の中でも“宿命の調性”といわれるト短調作品は名作の宝庫です。その最高峰といえる『交響曲第40番』の美しさはまさに破格。アインシュタインの命日にふさわしい音楽ではないでしょうか。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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