【年末特別企画】連載前半総括「レコード大賞」を発表! 作詞・作曲・編曲・歌唱…そして大賞は?(沢田研二の音楽1980-1985)
【沢田研二の音楽1980-1985】#52 「週4日、ほぼ毎日かよ、書けるのか?」と思いながら始まったこの連載も、今年は本稿で終わり。いよいよ前半戦が終了。折り返し地点に差し掛かりました。 【写真】沢田研二に火を点けた佐野元春(1990年撮影) 進んだのは、ザ・タイガースのアルバム「THE TIGERS 1982」まで。 予定では、もう少し行けるはずだったのですが、それぞれの曲、それぞれの盤が懐かし過ぎて、予定以上に書き込み過ぎた結果です。後半戦は飛ばしますよー。 では今回は中締めとして、年末だけに、ここまでに取り上げた作品と、それらに携わった人に関する「レコード大賞」を発表しようと思います。 まず作詞賞は糸井重里。「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」の三浦徳子と競りましたが、「TOKIO」「恋のバッド・チューニング」の奇想天外な歌詞をあらためて評価しての受賞です。糸井重里のペンから、80年代が始まったのでした。 作曲賞は、佐野元春。特にアルバム「G.S.I LOVE YOU」に収録された「彼女はデリケート」「THE VANITY FACTORY」のメロディーは、「80年代沢田研二」の新機軸を具現化したものでした。そして沢田研二とのコラボレーションは後半戦もまだまだ続きます。 編曲賞は、これはもちろん伊藤銀次。1曲挙げるとすると先の「THE VANITY FACTORY」。めちゃくちゃかっこいいストーンズ風のイントロは、コンサートの場において、それから長く、沢田研二と観客の腰をノリノリに動かしたのでした。 歌唱賞はもちろん沢田研二なのですが、1曲に絞るとすると、アルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」バージョンの「渚のラブレター」で決まりでしょう。あのサビの高音の歌唱は、これまで取り上げてきた曲の中でもベストボーカルではないでしょうか。 そして栄えあるレコード大賞は……やはり同じく、アルバムバージョンの「渚のラブレター」で決まり。おめでとうございます(誰に?)。一般的に沢田研二の代表曲として認知されている曲ではありませんが、この連載的に「沢田研二の音楽1980-1985」の前半戦は、この曲に極まりました。 週4日の「ほぼ毎日」連載、いい勉強になりました。後半戦はザ・タイガースのあの色つきのヒット曲から始めましょう。 それでは年明け、後半行ってみよう、後半出発! よいお年を。 ▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。新刊「大人のブルーハーツ」好評発売中。ラジオDJとしても活躍。