自民、改憲へ新体制 ベテランの船田元氏、古屋圭司氏を起用も…立民・枝野幸男氏の高い壁
憲法改正に向けた自民党の新体制が固まった。衆院憲法審査会で他党との交渉役を担う与党筆頭幹事に、船田元・元経済企画庁長官を再起用。また、自民内の調整役として古屋圭司憲法改正実現本部長を続投させる。先の衆院選では自民など改憲勢力が発議に必要な3分の2(310議席)を下回った。反転攻勢へベテラン2人への期待は高まるが、前途には壁が立ちはだかっている。 【写真】自民党の古屋圭司憲法改正実現本部長 ■船田氏にとって枝野氏は高校の後輩 当選14回の船田氏は「憲法族」の重鎮で、自民の憲法調査会長や憲法改正実現本部長の前身の憲法改正推進本部長などを歴任した。 衆院憲法審の与党筆頭幹事を務めていた平成27年、人選に関わった参考人質疑の発言をきっかけに集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法の違憲論が広がり、党内で責任を問われたこともある。 船田氏にとって、衆院憲法審査会長に就任した枝野幸男氏(立憲民主党)は栃木県立宇都宮高校の後輩にあたる。産経新聞の取材に「かつて(改憲ルールを定めた)国民投票法を成立させたときも(自民の)中山太郎氏と枝野氏と私がトロイカ方式で法案をまとめた経験がある」と強調。改憲論議の促進に自信を見せる。 ■定例日に憲法審を開けるのかが焦点 とはいえ、立民は党内や支持層に護憲派を抱えている。枝野氏は周囲に「(改憲勢力が重視する)9条改正と緊急事態条項新設の議論はストップさせる」と漏らす。自民幹部は「枝野会長のもとで定例日に憲法審を開けるのかが焦点だ。船田氏の役割が重要になる」と語る。 古屋氏は当選12回。自民の衆参両院議員が憲法を巡る見解の相違を克服するきっかけとなった改憲指針「論点整理」の取りまとめに尽力した。来夏に参院選を控える中、改憲を「党是」に掲げる自民の司令塔としての手腕が問われる。(内藤慎二)