NBAファイナルで冷房が故障してエースが途中離脱する珍事
NBAファイナルが現地時間の5日、スパーズの本拠地、サンアントニオで開幕。7シーズンぶりに優勝を狙うスパーズが、3連覇に挑むヒートを110-95で破ったが、その開幕カードで不測の事態が起きた。 第4Qの残り1分14秒。ヒートのエース、レブロン・ジェイムスが、メディアのワークルームの脇を通ってベンチに引き上げていった。その時点で、スパーズが10点のリード。ジェイムスの後ろ姿が、少し早い試合終了を告げていた。この試合、第4Qに入ると、明らかにそのジェイムスの動きが鈍っていた。目に見えて汗をかき、動きにキレがない。シュートの精度も本来のものとはほど遠い。7分31秒でベンチに下がると、首に氷を当てて、体温を下げようとしているのが分かる。 ぐったりとし、目もうつろ。異変は明らかだった。しかしながら残り4分33秒、スパーズに94対90と4点をリードされた場面で再びコートへ戻る。ヒートのエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)は、「戻ろうなんて考えるな」と言ったそうだが、チームが窮地に陥っているのをみて、ジェイムスは黙っていられなかった。「あの場面では、チャンスがあったから」。 ところがやはり、すぐに体が悲鳴を上げる。残り4分9秒、自らレイアップを決めて2点差としたものの、着地した瞬間、左足をかばう仕草を見せ、すぐにヒートベンチに助けを求めた。左の太ももが引きつり、もはや自分の足で歩くことが出来なくなったのである。ジェイムスは試合後、「動いたら、ひどくなると思った」と振り返った。 「自分に出来ることは、動かないことだった」。 その原因。おそらく暑さだろう。試合が始まって間もなくして、会場のAT&Tセンターの冷房が故障した。第1Qの途中から会場の温度が上昇していった。客席のファンは、プログラムなどで扇ぎ始める。もちろん主催者側は、すぐに復旧を試みたが、いっこうに直らなかった。ファイナルという晴れの舞台でめったに起こらない異常事態。コート上の気温は、第3Qが終る頃には、30度を超え、凄まじい熱気が、選手らから体力を奪っていく。最終的にはアリーナ内の気温は、35度以上にもなったそうだ。 まるでサウナである。スパーズのヘッドコーチが「暑さを考慮して、バランスを考え交代を使った」と説明するなど、暑さ対策として、両チームとも選手らの交代ペースを早めるなどしていたが、ジェイムスは、その前の段階で、体力を消耗していた。