NBAファイナルで冷房が故障してエースが途中離脱する珍事
第3Qが終わった時点で、ジェイムスは27分50秒に出場。ほかのどんな選手よりも長くコートに立ち、両チーム通じて最多の23点をマーク。そこまでの段階では、誰よりも運動量が多かった。結果的には、その無理がたたったことになる。大量の汗が、脱水症状を引き起こし、痙攣や肉離れにつながることは広く知られている。おそらくジェイムズも、一種の脱水状態だったのか。強いて言えば、スポールストラHCは、暑さを考え、もう少し、選手らの出場時間をセーブすべきだったのかもしれないが、すべてはタラレバ。第3Qまでは、ジェイムスの動きが一番よかった。 いや、ジェイムス本人は、「試合を通して、左足の感覚を失っていった」と話しているから、そこまで相当、無理をしていたのかもしれない。ただ、負けたヒートにとって不幸中の幸いだったのは、ジェイムスが故障でプレイが出来なくなった訳ではないということか。ねんざをしていたり、膝のじん帯でも痛めていたら、それこそダメージが大きかったが、暑さによる体力消耗が原因なら、第2戦までに十分回復するはずだ。 さて、メディアのワークルームでは、「ジェイムスを潰すために、スパーズがわざと冷房を止めたのでは?」とのブラックジョークも出ていたが、それはないだろう。暑さで体力を奪われる可能性が高いとしたら、むしろ、ベテランが多いスパーズの方。リスクが高すぎる。スパーズのヘッドコーチも、試合後の会見で、まるで水でもかぶったように汗だくで、「この悪条件は、両チームともに同じ」と語っていた。 現在、午前12時20分。両選手の流した大量の汗でコートをまるでプールのようにしてしまった試合が終わって2時間が経とうとしているが、冷房は相変わらず、動かないままである。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)