お酒の場で気軽に“寄付”という社会貢献ができる「KIFUBAR(キフバー)」って?
漠然と「社会の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」と思いつつも、寄付やボランティアなど具体的なアクションは起こしたことがないという人は多いのではないでしょうか。 背景には、そもそも社会問題や課題に取り組んでいる人・団体の存在を知らない、寄付に対する心理的なハードルが高いなどの課題があるようです。 「KIFUBAR(キフバー)」はそんな人たちのために生まれたバーイベント。毎回、NPO団体職員やボランティア支援者など、さまざまな社会貢献活動に取り組む人や団体が登壇し、5分間の簡単なプレゼンテーションを行います。 参加者はドリンク1杯ごとにもらえる投票用のコインを、関心を持った団体に渡すことで、ドリンク代の40パーセントがその団体に渡る仕組みになっています。 2017年11月にスタートし、累計80回以上開催、1,700名以上が参加し、空いたグラスは3,800杯以上、合計寄付金額は210万円以上に上ります。 これまで一度も寄付をしたことがない参加者や、「偶然イベントを知って、なんとなく参加してみた」人も、いつの間にか引き込まれ、積極的に寄付に参加しているといいます。 今回は発起人の谷田脩一郎(たにだ・しゅういちろう)さんに、「KIFUBAR」が生まれた背景や、イベントを運営する上で気付いたこと、社会貢献や寄付を身近に感じられる社会をつくるためにできることについて伺いました。
NPO団体の人と出会い、気軽に話を聞く場を作りたかった
――そもそも「KIFUBAR」はどんなきっかけで始められたんでしょうか? 谷田さん(以下、敬称略):前職でNPO団体の広告運用やデジタルマーケティングの支援をしていたのですが、だんだんWEB上で寄付を集めることに心が動かなくなってしまったんです……。「リアルに寄付が生まれる瞬間を見たい!」と、思うようになったのがきっかけです。 また、さまざまなNPO団体の説明会に参加する中で、公民館のような場所で90分くらいの長時間にわたるプレゼンを聞く機会も多かったんです。関心がある人にとっては意義深いし面白いのですが、興味があるかどうかも分からない友人をこの場に誘うのは難しいなと感じていました。 説明会のように堅苦しい雰囲気ではなく、もっとカジュアルに、お酒を飲みながら、短いプレゼンテーションが聞けるような場があれば、気軽に参加してもらえるんじゃないかと思ったんです。 ――もうすぐ100回目を迎えるとのことですが、どうしてここまで続けてこられたのでしょうか? 谷田:初めのうちは仕事の一環でしたが、その後私が転職したので、今となってはただ楽しく飲んでいるだけなんです(笑)。僕の場合、どうせ毎晩のように誰かとお酒を飲んでいるのだから、5回に1回は「KIFUBAR」でもいいじゃないかって思ったんですね。 「KIFUBAR」に集まる人たちは、誰かを傷つけるようなことや愚痴を言うことはほとんどないし、いろいろな物事に対して興味を持ってくれる人が多いので、一緒に飲んでいて気持ちがいいんですよ。 ――会場や登壇者はどうやって決めているのでしょう? 谷田:会場は実際のバーを「間借り」のような形で一晩お借りすることもあれば、共感してくださった企業のオフィスをお借りすることもあります。 登壇者の選定方法はいろんなパターンがありますが、特に選定基準があるわけではなく、基本的には、「ぜひ登壇してください」というスタンスです。 僕が主催する場合はとにかく先に、場所と日程を決めて、SNSを通じて「◯月〇日にKIFUBARを開催します。登壇する団体を募集しています!」と呼びかけて募ります。 それ以外にも、テーマを決めて活動団体を探すこともあれば、他の団体とコラボレーションする際は、一緒に選定することもあります。