【サッカー日本代表 板倉滉の「やるよ、俺は!」】第16回 北朝鮮戦で学び直した"勝利への貪欲"
■「これや、これ! このインテンシティ!!」 北朝鮮で、勝利への貪欲さを全力で示してくれた立役者は(長友)佑都さんだ。久しぶりの招集、会えば僕も思わず顔がほころんでしまう。とにかくエネルギッシュでオーラがほとばしっている。 「これや、これ! これが欲しかったんや! このインテンシティや~!!」 と、練習の段階から雄たけびのような声を出して体を動かしていた。 さらに圧倒されたのは、佑都さんの体だ。皮と筋肉で、脂肪はほぼ皆無。お尻を触らせてもらったところ、感触はボウリングの球のようだった。 僕も今までたくさんのベテラン選手と一緒にプレーしてきたが、佑都さんは別格だと思う。37歳、W杯には4大会出場。今も体力の数値はトップレベルを維持。メンタルのみならずフィジカルも"モンスター"である。代表期間中はずっとトレーニング法やコンディションの調整について質問攻めにした。勉強になることばかりだった。 北朝鮮との試合中でも、佑都さんはライン際に立って、僕らを叱咤激励してくれた。気がつけば、佑都さんがいた。けっこうな頻度でベンチから前に出てきていたので、監督がもうひとり増えたようだった(笑)。 日本代表に選ばれることの喜びを全力で表して、たとえ出番があろうとなかろうと、練習から一切手を抜かず、チームの皆を鼓舞する。そんな姿を見て、僕自身、もっともっと努力を重ねていかないとダメだと痛感させられた。 何度でも言おう、やはり佑都さんのような"ギラギラ"がなくなったら、サッカー選手はおしまいだと思う。ましてや、代表チームは国を背負って戦う集団。 システムやフォーメーション、戦術も重要ではあるが、勝ちをつかむための闘争心こそが原動力であり、最も大事な要素だ。"満足"という名のリミッターは絶対つくってはいけないのだ。 構成・文/高橋史門 撮影/山上徳幸 写真/AFLO/JFA