日鉄の買収阻止へ最終調整 米大統領、USスチールは反発
【ワシントン共同】バイデン米大統領が、日本製鉄による鉄鋼大手USスチールの買収を阻止する最終調整に入ったことが4日、分かった。複数の欧米メディアが伝えた。安全保障上の懸念が理由とみられるが、11月の大統領選を前に、反対している労働組合の票を取り込む狙いもありそうだ。日鉄の大型買収計画の実現が危ぶまれる状況となった。 買収を巡っては全米鉄鋼労働組合(USW)が反対。大統領選で民主・共和両党の候補とも否定的な考えを示している。USスチールは激戦州の東部ペンシルベニア州に本社がある。日鉄は5日「法にのっとり、適正に審査されるものと強く信じている」とのコメントを発表した。 買収は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査している。バイデン氏はCFIUSの勧告に基づき、買収を禁止する行政命令を出すとみられる。英紙フィナンシャル・タイムズによると、CFIUSが日鉄に対し安全保障上の懸念があると伝えたという。
カービー大統領補佐官は4日の記者会見で「大統領は一貫している」と説明。報道内容への言及は避けた。