補助金支出を一時保留 昨夏、市の会計課が疑義示す…長崎・南島原サテライトオフィス問題
長崎県南島原市深江町の道の駅「ひまわり」に企業誘致のための「サテライトオフィス」を整備する事業が頓挫し、市に補助金9千万円が返還されていない問題で、補助金交付の手続きについて市会計課が適切ではないと疑義を示し、支出処理を一時保留して担当部署に再検討を促していたことが18日までに分かった。 会計課の指摘を受け、山口周一副市長と担当課が協議。事業者のエバーグリーン(佐世保市)から委任を受け、「委任払い」として昨年8月、補助金9千万円を施工業者の成和(福岡市)に送金した。サテライトオフィス事業はほとんど着工されないままエバーグリーンが今年5月、廃止を届け出た。 委任払いは、補助金の申請者から委任を受けた自治体が、第三者に補助金を支給する事務処理。山口副市長は松本政博市長に報告せずに委任払いを決済していた。 補助金は通常、事業終了後に交付するが、市はサテライトオフィス事業を巡り、補助金9千万円をエバーグリーンではなく、着工前に成和へ「概算払い」した。住民監査請求に基づく監査報告書によると、市会計課は「補助金の概算払いを第三者(成和)の口座に振り込むのは難しい」と担当課に指摘していた。 監査報告書によると、2022年以降に南島原市が実施した委任払いは、サテライトオフィス事業を除き計9件。市の会計規則では、やむを得ない場合に限り行うとしており、市会計課は基本的に好ましくないという考えを示している。 山口副市長は「委任払いは市の会計規則に基づいた事務処理。エバーグリーンが責任を持って仕事をしていれば問題になっていなかった」と話している。