よく似ていて覚えやすい…フランス語とスペイン語とイタリア語は3言語同時に学んだほうが良いワケ
■スペイン語の不定冠詞 スペイン語の不定冠詞も簡単です。男性名詞にはun、女性名詞にはunaがつきます。unの子音nは、次に母音が続く場合つなげて発音します。 ---------- un tío(ウン ティオ) 「おじ」 un estudiante(ウネストゥディアンテ) 「男子学生」 un año(ウナニョ) 「1年」 un día(ウン ディア) 「1日」(aで終わりますが、男性名詞です) una tía(ウナ ティア) 「おば」 una estudiante(ウナ エストゥディアンテ) 「女子学生」 una puerta(ウナ プエルタ) 「ドア、門」 una naranja(ウナ ナランハ) 「オレンジ」 ---------- ■イタリア語の不定冠詞 イタリア語の不定冠詞は少し複雑です。男性名詞と女性名詞で形が変わるだけでなく、次にくる単語の最初の音の種類によっても変わります。 ---------- 【男性名詞】 大多数の名詞の前 → un 子音nは、次に母音が続く場合つなげて発音します。 un giorno(ウン ジョルノ) 「1日」 un anno(ウナンノ) 「1年」 z、s + 子音(その他一部の子音)で始まる語の前 → uno zやstのような語頭の音は重く発音しにくいので、母音oを入れて発音しやすくします。 uno zio(ウノ ツィーオ) 「おじ」 uno studente(ウノ ストゥデンテ) 「男子学生」 【女性名詞】 子音の前 → una una zia(ウナ ツィーア) 「おば」 una studentessa(ウナ ストゥデンテッサ) 「女子学生」 una porta(ウナ ポルタ) 「ドア、門」 母音の前 → un’ 母音が2つ続くと発音しにくいので、冠詞の最後の母音aを落とします。 子音nは次に続く母音とつなげて発音します。 un’arancia(ウナランチャ) 「オレンジ」 ---------- これら一見難しい決まりも、なめらかに、そしてメリハリをつけてわかりやすく発音するためのイタリア語の工夫なのです。 以上がフランス語、スペイン語、イタリア語、3言語の名詞や不定冠詞に関する基本事項です。 もちろん、いくら似ていると言っても、3つを同時に学ぶのは簡単なことではありませんが、言語の習得が好きな人であれば楽しんで学べるのではないでしょうか。ぜひチャレンジしてみてください。 ---------- 藤田 健(ふじた・たけし) 北海道大学大学院文学研究院教授 1968年青森県弘前市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程終了。博士(文学)。専門分野はフランス語、スペイン語、イタリア語を中心とするロマンス語対照言語学、統語論。著書に『ロマンス語再帰代名詞の研究 クリティックとしての統語的特性』(北海道大学出版会)、共著に『言語研究の諸相 研究の最前線』(北海道大学出版会)、『情報科学と言語研究』(現代図書)がある。 ----------
北海道大学大学院文学研究院教授 藤田 健