ディスカウント家具小売の アメリカンフレイト 、店舗デザインを刷新:コンセプトは「よりシンプルな店舗体験」
ディスカウント家具小売業者であるアメリカンフレイト(American Freight)は、シアーズアウトレット(Sears Outlet)との合併から4年が経過し、装いを新たにする。 アメリカンフレイトは、家具やマットレス、および新古品(開封済みだが未使用のもの)の家電を販売しており、より多くの買い物客を呼び込む試みとして、店舗デザインを試験的に変更し、ブランドを刷新しようとしている。倉庫内の商品の整理方法を変更し、ディスプレイや看板に緑色、黄色、オレンジなどの明るい色を取り入れることで、ショッピングの環境をより快適にしたい考えだ。 アメリカンフレイトの店舗の商品は、これまでぎっしりと並べられていたが、現在はもっとスペースを空け、「ダイニング」や「寝室」といったテーマごとにグループ化されている。一方で新古品の家電は、摩耗の程度に応じて色分けされるようになった。また、ロゴには屋根のデザインを組み入れ、「家電(Appliances)」と「家具(Furniture)」の頭字語をとって「AF」とした。
ショッピングをよりシンプルなものに
アメリカンフレイトは1994年に創設され、米国の40州にわたって370店舗を展開するとともに、eコマースサイトも運営している。ソファや冷蔵庫、ダイニングセットなどの新品と中古品の両方を販売しており、同社によればこれまでに500万人の顧客を獲得している。 アメリカンフレイトの新しい店舗レイアウトは、デンバーとタンパにある4店舗で試験的に導入されており、店舗でのコンバージョン率次第では2024年後半に拡大する予定だ。この刷新を宣伝するため、同社はデジタル、プログラマティック、およびソーシャルチャネルを通じて一連のコマーシャルを全米に展開している。また米国内で27の地域を厳選し、屋外広告板、ケーブルテレビ、ラジオでの広告も行っている。 アメリカンフレイトのブランド刷新は、パンデミックの直前に実施された同社の構造改革から間もない時期に始まった。2020年にフランチャイズグループ(Franchise Group)は4億5000万ドル(約671億円)でアメリカンフレイトを買収し、シアーズアウトレットグループ(Sears Outlet Group)と統合した。経営陣は、特に新居購入のような人生の大きな転機を迎える人々に向けて、アメリカンフレイトのブランドを位置づける最善の方法を判断するために、それから数年を費やした。アメリカンフレイトのCMOであるラウリ・ヨッフェ・トゥリマン氏によると、商品を詰め込んだり、情報を強調した掲示物で店内をいっぱいにするのではなく、ショッピングをよりシンプルで、素早く、要点を絞ったものにすることが目標だったという。 「家具の従来モデルは情報の押し付けが多すぎる。店内に入ると、商品のタグにローンや保証のことが書かれていて、全てが一度に誘いかけてくる」とトゥリマン氏は話す。新店舗の外観とレイアウトでは、「どのような商品やサービスを提供しているのかを強調するのではなく、顧客の問題をどのように解決できるのかを重視することにした」と同氏は説明している。たとえば、商品を使用例やコンディションによって分類することで、買い物客が店員の手助けなしに多くの商品を自分で探せるようにした。 この刷新において、ほかにも対処すべき問題があった。まず、同社は貨物(フレイト)を扱っていないため、社名が直感的に理解できるものではなかった。小さな家のようにデザインされた新しい「AF」のロゴは、この問題を解決するものだ。現在のメッセージは「極めて関連性がある」ものになったと、ブランドの刷新を監督した広告代理店であるザ・シップヤード(The Shipyard)のCMOであるデビッド・ソンダーマン氏は話した。「我々は社名変更の利点について話し合ったが、もっと小さな変更で目的を達成できるということに気がついた」。