「新しい歴史教科書をつくる会」西尾幹二さんが死去、89歳…ドイツ文学者・保守派評論家
ドイツ文学者で「新しい歴史教科書をつくる会」の活動で知られた保守派の評論家、西尾幹二(にしお・かんじ)さんが1日、老衰で死去した。89歳だった。葬儀は家族葬で行う。
東京生まれ。静岡大講師などを経て、電気通信大教授に就任した。ニーチェやショーペンハウアーなどのドイツ思想を専門とし、個人主義や自由について論じた。
論壇での評論活動も活発に行い、対象は政治、文学、歴史、教育など多岐にわたった。1997年には、それまでの歴史教科書が「自虐史観」に陥っているとして、日本の歴史をより肯定的に描く教科書を作ろうと、「新しい歴史教科書をつくる会」の設立にかかわった。初代会長を務め、「国民の歴史」も執筆した。2006年に同会を離脱した後も、言論活動を続けた。
中央教育審議会委員も務めた。15年に瑞宝中綬章。他の著書に「ヨーロッパの個人主義」「ニーチェとの対話」などがある。