1泊30万円でも訪日客に大人気!外国人観光客が選んでいる高級宿と人気旅館はどこ?
インバウンドの急増にともない、日本でもホテル代が高騰している。都心ではビジネスホテルの値上げが深刻で、もう気軽に泊まれないと嘆く人も。そんななか、日本全国の名所に集う外国人観光客は、数多ある日本の宿をどのように選び、利用しているのだろうか。『鳥海高太朗が選ぶ 外国人観光客が見つけた47都道府県ニッポン新名所図鑑』(宝島社)より一部を抜粋・編集し紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● 1泊30万円前後の ラグジュアリーホテル 奥日光の中禅寺湖畔にあり、東武鉄道とマリオット・インターナショナルが提携して2020年に開業した「ザ・リッツ・カールトン日光」は、桜の春、避暑となる夏、紅葉の秋に加えて極寒の冬にも外国人の人気を集めている。次々とラグジュアリーホテルがオープンする東京でも、「アマン東京(2014年12月開業)」や「ブルガリホテル東京(2023年4月開業)」がいずれも1泊30万円前後という強気の価格で富裕層のツーリストを迎えている。 京都では、従来のラグジュアリーホテルのほかに、タイの高級ホテルである「デュシタニ京都(2023年9月開業)」や1995年にモルディブからスタートしたラグジュアリーブランドである「シックスセンシズ京都(2024年4月開業)」など、いわゆるアジア系リゾートホテルも次々と参入し、アジア的なテイストと京都の伝統的な雰囲気を融合させている。
● 「旅館」は日本が誇る 伝統的な宿泊スタイル 外国人には「RYOKAN」と呼ばれ、温泉や浴衣着用などを体験できるところもあり、根強い人気がある。修善寺「あさば」、箱根「強羅花壇(ごうらかだん)」、山代温泉の「べにや無何有(むかう)」など、鉄板の旅館が支持されているが、その背景には、これらがフランスで発足したホテル・レストランの非営利会員組織「ルレ・エ・シャトー」に加盟しており、このコンテンツから存在を知る人が少なくないことがいえる。 江戸時代初期の大銀山として栄えた「延沢銀山」の名称に由来する銀山温泉は、大正から昭和初期の建築様式が残る木造の旅館が立ち並ぶ。ノスタルジックな風情が漂い、夕方にはガス灯が灯り、昼と夜の印象を大きく変えるのが見どころだ。 ジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモデルになった地としても有名で、また、国民的ドラマ『おしん』の撮影地でもある。 歩き回れる規模感なので、食べ歩きやお土産屋さんなど温泉街を散策して楽しめる。立ち並ぶ旅館の壁に注目すると、「鏝(こて)絵(編集部注/壁を塗る漆喰と左官ごてで描かれる装飾)」と呼ばれるさまざまな絵が描かれており、訪問者を歓迎している。