「高齢者、特に女性ははたくさん肉を食べてください」は本当か? 日本人女性が心筋梗塞で亡くなるリスクは欧米と比較してもとても低いという現実
悪玉コレステロールが嫌われる理由
このような話をすると、「それは善玉コレステロールの話ではないか」と言う人がいるのですが、決してそうではありません。 女性ホルモンや男性ホルモンの材料になるのも、免疫機能を上げるのも、セロトニンを運んでうつを予防するのもすべて「LDLコレステロール」、つまり、世の中では「悪玉」と呼ばれているコレステロールです。 「善玉」と呼べる部分があるにもかかわらず、なぜ「悪玉」などと呼ばれているのかと言えば、それが動脈硬化の原因となり、心筋梗塞などのリスクを高めることを、循環器内科の医者たちが問題視しているからです。 つまり、LDLコレステロールに悪玉のレッテルをはっているのは循環器内科の医者だけで、たまたま彼らの声が大きいから、世の中で「悪玉」扱いされているというだけの話なのです。 日本の医師はアメリカの猿まねなので、循環器の病気が原因で亡くなる人は少ないのに循環器内科の声が大きいのです。 彼らの言うことを聞いて悪玉コレステロールを体から追い出せば、動脈硬化の進行を遅らせて、心筋梗塞や脳梗塞のリスクは下がるのかもしれません。 けれども特に高齢女性の場合は、元気も気力も肌ツヤも失われ、感染症にかかりやすくなり、気分も落ち込み、さらにはがんのリスクまで上がってしまうといった深刻な負の影響を受け入れてまでも、そのメリットにこだわる必要があるとは、私には到底思えません。 なぜなら先に申し上げたように、そもそも女性は心筋梗塞で亡くなるリスクが欧米と比べてとても低いからです。 写真/shutterstock
---------- 和田秀樹(わだ ひでき) 1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『60歳からはやりたい放題』『90歳の幸福論』『60歳からはやりたい放題[実践編]』『医者という病』(扶桑社)など著書多数。 ----------
和田秀樹