「わずか5分で570万円の損失が」それでも2カ月後には数百万円を…角界“野球賭博事件”の元力士が語る“賭博沼”の恐怖「水原さんの心境もわかる」
日本中を騒然とさせた大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏の賭博スキャンダル。かつて日本スポーツ界において、違法賭博が大きな騒動となった事案として2010年に表面化した「大相撲野球賭博事件」が挙げられる。なぜスポーツ界と違法賭博は結びついてしまうのか。事件の“首謀者”のひとりとして有罪判決を受けた押尾川部屋の元幕下力士・古市満朝氏(51歳)が振り返る、違法ギャンブルのリアルとは。<前後編の後編/前編から読む> 【写真】「生々しい肉声…」“角界違法賭博スキャンダル”で引退の元大関・琴光喜の実際の供述調書&「頬がこけて…水原通訳、1年前とまったく違う」足に枷まで…法廷での一平容疑者最新画像も見る 大相撲野球賭博事件で、震源地となった阿武松部屋(当時の親方は元関脇・益荒雄)に賭博を最初に持ち込んだのは、同部屋OBで元幕下力士の梓弓(本名=山本俊作)だった。 梓弓の父は、関西野球賭博の有名な胴元として知られていた。力士時代に築いた人間関係と信用、情報力で、野球賭博は瞬く間に角界の深部に広がっていったのである。 「違法賭博の胴元は暴力団であるという固定観念がありますが、それは違います。もちろんヤクザ直営の胴元もありますが、当時はカタギが運営して、暴力団員が客といったケースも多かった。胴元の鉄則は“客を殺さない”ことですから、たとえ借金が累積しても、すぐに追い込んだり、暴力でカネを回収するということはあり得ない。 むしろ熱くなっている客に、冷静さを取り戻すよう諭します。違法賭博の世界では、関与している全員が摘発されるリスクを共有しているため、事件を起こしては共倒れになると分かっているのです」
水原事件のナゾ「なぜ胴元はあれほどの金額まで受けたのか」
古市氏の場合、野球賭博1試合に賭けた最高金額は1000万円だった。もっとも、通常の野球賭博でこれだけの金額を胴元が受けることはまず、あり得ないという。 「“丁半バクチでテラ銭が1割”というシステムでは、試合に八百長でもない限り、客は勝てません。どうしても負けを取り返そうとすれば大きく張るしかないが、そういうイチかバチかの勝負は、たとえ相手が天下の横綱でも胴元は受けてくれない。 客が負けたときは回収できずに焦げ付くリスクがあり、勝った場合には支払いができなくなる可能性があります。水原さんの場合、どうして何十億円もの損失になるまで胴元が受け付けたのか。そこが分かりません」 大相撲野球賭博事件が表面化したきっかけは、元関脇・貴闘力の大嶽親方が珍しく500万円の勝ちをおさめたとき、その勝ち金を胴元の梓弓が精算できなかったことに始まる。 違法賭博の「生態系」は極めて脆弱な土台の上に成り立っているが、それを支えているのは賭博者の「何としてでも賭けたい」という病的な欲求に他ならない。
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