子宮頸がんワクチン 副作用どうみる? 接種どうする?
はっきりしない因果関係
これまでに日本で報告されている副反応には、発熱、注射部位の腫れや痛みといった比較的軽度のものから、注射したところ以外の部位に慢性的な強い痛みを感じるケースやギラン・バレー症候群(歩行困難などをきたす運動神経の病気)といった重症のものまでありますが、すべての症例でワクチン接種との因果関係が明らかになっているわけではありません。
WHO(世界保健機関)が今年6月に出したHPVワクチンの安全性に関する声明は、世界中あわせてこれまで1億7500万回分が販売されたものの、副反応報告は予測の範囲を超えていないとしています。ちなみに、ギラン・バレー症候群が起こる頻度は430万回に1回と予測されています。はしかなどの予防ワクチンで稀に重い副反応が現れることが広く知られているように、子宮頸がん予防ワクチンも同じようなリスクをはらんでいることは否定できません。 なお、いま用いられているワクチンはすべてのHPVに有効なわけではありません。そのため予防接種をしたとしても子宮頸がんの検診を受ける必要がありますが、日本では子宮頸がん検診の受診率が約3割と低い水準であることも問題になっています。接種するかどうかを決める際には、効果が限定されていることやその後の対策についてもよく理解しておくべきでしょう。 予防接種と検診を国の施策として公費で行うからには、そのリスクとメリットを統計学的に示し、社会的コストも含めて検討した上で、誰もが納得できる説明が待たれます。