<強者に勝て!・’21センバツ下関国際>出場への軌跡/2 意識引き締め守備強化 /山口
序盤で敗退した2020年の夏から一転、秋の県大会では、下関国際は見違えるようなチームへ成長した。延長戦の末に桜ケ丘に敗れはしたものの、準優勝し、中国大会進出を決めた。坂原秀尚監督は「彼らには大きなミスをしながらも試合中に吸収して成長できる力があった。公式戦で勝利を重ねることが自信につながりどんどん強くなった」と驚く。 選手らの潜在力と並び、躍進の原動力となったのが「全員でやる意識」に沿った守備の強化だ。「1球のために、技術がなくても誰でもできるチームプレー」(坂原監督)と、近くの選手がフライ捕球時にミスした時の対応などをカバーする練習に力を入れていた。 だが、快進撃とそれに伴う自信が油断を生んでいた。「そもそも延長戦に入る必要はなかった試合だった」。仲井慎選手(1年)は、秋の県大会決勝を悔いた。延長十回裏2死二塁、サヨナラのチャンスだった。味方の一打でホームインを狙ったが、三塁を回ったところでつまずいてホームに突入し、タッチアウトに。「あの時は偶然だと思ったが、本当は日ごろの生活の気の緩みからだった」。延長十二回の末、3―5で負けた。 準優勝したが、大会を通じた失策は10個で、鍛えたはずの守備で乱れが目立った。決勝の桜ケ丘戦だけでも4個を出し、敗北につながった延長十二回の失点も失策絡みだった。 1週間後、甲子園の常連校・広陵高校(広島市)と練習試合に臨んだ。1試合目は終盤まで3―1で2点リードしていたところに、九回裏で1死一、三塁のピンチを迎えた。バッターボックスに立ったのは代打の選手。この場面で投手としてマウンドに上がった仲井投手は、初球のスライダーを捉えられてスリーランを許した。2試合目も1点差で競り負けた。 試合後、坂原監督は帰りのバスを運転しながら「1試合目の最後の代打の子はどんな選手か知っているか」と問うた。「広陵の大勢いる選手の中で、普段は試合に出ないけど一番努力家の選手だ。その選手が初めてホームランを放った。人と人との勝負で負けたんだ」。秋の県大会も、広陵との練習試合も、普段の練習や生活での緩みが試合での詰めの甘さにつながった。 中国大会まで3週間を切る中、選手らは改めて意識を引き締め、守備の強化にあけくれた。【堀菜菜子】 〔山口版〕