韓国、9年ぶり出生率上昇の見込み…背景は? 今後は?
コロナ禍で延期されていた結婚が増加 社会認識の変化も
今年第3四半期に生まれた子どもの数が昨年より大幅に増えており、9年ぶりに出生児数が増加し、合計特殊出生率も上昇するだろうとの期待が高まっている。専門家は、今年の出生児増加効果を持続させるめには、長期的な少子化対策が必要だと助言する。 統計庁が27日に発表した「9月の人口動向」によると、今年第3四半期の出生児数は6万1288人で、昨年同期より4523人(8.0%)増加。今年9月の出生児数(2万590人)も前年同月に比べ1884人(10.1%)増加するなど、3カ月連続で1千人以上の増加が続いている。1月から9月にかけての出生児数の累計(17万7315人)も昨年に比べ0.7%増。第3四半期の合計特殊出生率は0.76で、昨年同期より0.05上昇した。四半期の合計特殊出生率が上昇したのは、2015年第4四半期(0.02上昇)以来。 今のような流れが続けば、今年の合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産むと予想される子どもの数の平均)が昨年(0.72)より高い0.74を記録する可能性がある、という見通しが示されている。少子高齢社会委員会のチュ・ヒョンファン副委員長は26日のあるシンポジウムで、「今年の合計特殊出生率は昨年より高い0.74前後と予想される」と述べた。国会予算政策処も先月発行した報告書で、「(合計特殊出生率は)2024年には前年に比べ0.02上昇し、2028年まで緩やかに上昇する見通し」だと述べている。今年第1~3四半期の合計特殊出生率は0.74。統計庁の関係者は「第4四半期も(合計特殊出生率が)0.74ほどになれば、今年の合計特殊出生率は0.74ほどになるとみられる」と述べた。 政府は、コロナ禍後の結婚の増加と社会認識の変化が出生児数の増加の背景だとしている。統計庁人口動向課のイム・ヨンイル課長は、「2022年8月からの婚姻の増加の影響があり、30代前半の人口が少し増加したことによる出生率の上昇の影響も大きかった」とし、「最近の調査で『結婚したら子どもを持つべきだ』という回答の割合が高くなるなど、認識の変化もあると思われる」と説明した。今月12日に統計庁が発表した2024年社会調査では、「結婚はすべきだ」と考える人の割合(52.5%)が2年前より2.5ポイント、「結婚したら子どもを持つべきだ」(68.4%)も2年前より3.1ポイント上昇している。 ただしイム課長は、「(婚姻増加が)続くかどうかは見なければならず、(出生率には)経済的部分も影響するため、上昇が続くかどうかは見守らなければならない」と付け加えた。 専門家は、今年は一息ついた出生率低下の流れが今後の上昇へとつながるかは未知数だと語る。嘉泉大学のユ・ジェオン教授(社会福祉学)は、「来年初めから中ばまでは(出生児数が)増えるすう勢にある」としつつも、「上昇が続くのか、(合計特殊出生率が)0.7台にとどまることになるかは断言できない」と述べた。ソウル大学人口政策センターのイ・サンニム責任研究員は、「現在の(少子化)政策は当面は効果があがるが、短期的な効果に終わる可能性も高い」とし、「若者に直ちに何かを与えるという政策よりも、(一貫性のある対策で)信頼される政策を展開すべきだ」と指摘した。 ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )