テレ朝・ANNnewsCH、コロナ禍やガザ侵攻で感じた「報道」と「YouTube」の親和性
■ライブ配信の重要性感じたパレスチナ・ガザ地区侵攻の報道 ――地上波のニュース番組だと、限られた放送時間の中で中継を数分だけつなぐことが多くて、なかなか「流しっぱなし」にはできないですよね。 山野:たとえば記者会見も、地上波で使うのは1分ぐらい、本人の肉声を使うのはさらに10秒ぐらいですが、ライブで見せたりノーカットで掲載したりすることで、本人の人柄がより伝わります。大規模なデモや災害が長時間続いているときも、時間の経過を見せられるライブ配信の必要性を強く感じていて、昨年秋のパレスチナ・ガザ地区侵攻も、現在進行形で戦争がエスカレートしていく様子をライブでお伝えしました。鳥のさえずりが聞こえるのどかな朝が、いきなりドーンと爆撃されて、土煙が上がって一変する。視聴者の方からも、平和な朝と戦争の朝が表裏一体なんだと驚きの声がありました。 地上波だと、攻撃された瞬間を切り取ることが多いので、ずっと激しく攻撃されているのかと思ってしまうのですが、静かな日常と、緊張感のある戦争の非日常がないまぜになっている様子が淡々とライブで流れているという映像は、自分にとっても初めての体験でした。病院前のライブ映像でも、子どもがお菓子を持って歩いているところに急に怪我人が運び込まれてきたりして。「こんな小さな子がまだいるの?」「皆、避難しているわけじゃないんだ」というコメント欄の反応を見ていると、ライブ配信だからこそ伝わったこと、感じていただけたことがあったのではと思います。 佐藤:パレスチナ問題は、多くの方にとって戦争をリアルタイムで初めて見た体験になったと思うのですが、事実を知ることが理解の第一歩なので、実際に起こっていることを視聴してコメント欄で意見交換している姿を見て、その役に立ったのかなと感じました。 山野:トラックが検問所を通ったときには、「これはなんだ?」「ドラッグ?」「国連の車?」と様々な声が飛び交いました。テレビ朝日ではちゃんと原稿化した情報を持っていたので、「これは1日50台限定の、エジプトから物資を運ぶためのトラックです」と解説したところ、視聴者の方が「知りたい情報を知ることができた」「分かりやすく教えてくれてありがとうございます」と喜んでくださって。 ――地上波のテレビ番組だと「これはなんだろう?」と疑問を持っても、すぐに答えが得られるわけではないので、YouTubeのメリットを感じます。 山野:良いコミュニケーションが取れたときはうれしいです。そういった双方向性や、どれだけの人が興味を持って見ているか、どう受け止められているかがすぐ分かるスピード感もYouTubeの強みだと感じます。