他人の計画〝わが手柄〟「韓国型大統領制」の罪 国民が喝采する事案は自ら発表も…挫折すれば担当閣僚を更迭 無責任政策乱発の背景
【深層韓国】 あえて、「韓国型大統領制」と呼ぼう。手柄を大統領に集める不思議な慣行がある。国民が喝采しそうな事案についての決定方針は、担当閣僚に出番を与えず、大統領自身が発表する。あるいは大統領が中央に座り、周囲を関係閣僚、高級官僚が取り巻く会場で、担当閣僚が記者発表をした後、大統領が短い訓示を垂れて終わるのだ。 【画像】韓国の主な歴代大統領の末路 事案が挫折すると、大統領は責任を取らず、担当閣僚を更迭しておしまい。無責任政策が乱発される背景とも言えよう。 韓国の大統領が外国を国賓訪問する際は、100人内外の企業経営者を引き連れていく。大名行列ならぬ大統領行列を外国で繰り広げるのだ。 現地の韓国法人の責任者は、すでに決定したプロジェクトがあっても「署名は大統領訪問の時まで待ってください」と懇請する。あるいは、「大統領訪問の時までにまとめてくれるならば…」と、取引条件を譲歩する。 金額が大きなプロジェクトなら、大統領臨席の下での署名セレモニーとなる。 そして、大統領府は「閣下の○○国国賓訪問により○○億ドルの商談が成立した」と発表する。こうして歴代大統領は「韓国のトップセールスマン」になってきた。 ただ、大統領府が取りまとめる金額は、拘束力のない「了解覚書(MOU)」に盛られた数字であることが多い。だから、その大統領が退任してから何年がたっても、一向に動き出さないプロジェクトもある。でも、「国民はそんなこと覚えているかい」だ。 今年1月、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「龍仁(ヨンイン)市に622兆ウォン(68兆円相当)を投じて世界最大、最先端の半導体特化の産業団地群を造成することにした」と発表したのも、韓国型大統領制ならではのセレモニーだった。 日本には「韓国政府が622兆ウォンの資金を出す」と思い込んでいる人もいるようだが、そうではない。 韓国政府がしたことは、サムスン電子とSKハイニックスのプロジェクトを取りまとめ、大統領臨席の発表会で「わが手柄」のように述べただけのことだ。 龍仁市のプロジェクトは、半導体製造に必須の水と電力の供給にメドが立たないままだ。しかし、稼働開始予定は6年先だ。尹大統領はとっくに退任している。無責任発表が横行するわけだ。
2年数カ月後、「反財閥」の左翼政権が誕生したら、プロジェクトそのものが霧散しかねない。