八王子城下の歴史を巡る旅 後北条氏・武田氏・徳川氏の運命が絡み合う街の魅力とは
■八王子の人々に愛された「運命の姫君」 松姫の数奇な人生 (by Mummy-D) 最後に我々が向かったのは武田信玄の四女、松姫が眠る金龍山信松院(きんりゅうざんしんしょういん)です。場所は千人同心屋敷から中央本線を挟んで南側、八王子中心部から少し離れた閑静なブロックにあります。ああ、平地でよかった(笑)。 松姫さまは信玄の四女として生まれ、織田信長の嫡子信忠と政略結婚を期して婚約しますが、三方ヶ原の戦いに信長が家康に援軍を送ったことで破談に。その後武田家滅亡に際して甲斐から落ち延び、剃髪して信松禅尼となり、この地に庵を結ばれました。その時まだ22歳で、世にも稀な美女だったんだそうな。うっ、見てみたい……。この日は閉門間近で坐像は見れなかったのですが、資料で見るとスキンヘッドながら浅田真央さんに似ててめっちゃ美人っす。どーでもいいことながら(笑)。 その後信長、信忠も本能寺の変に斃(たお)れ、八王子を領していた北条氏も滅亡、徳川氏の庇護のもと武田一族の菩提を弔う傍ら、織物の技術を地元の人々に伝えました。それが後世桑都八王子織物として隆盛を極めたってんだから、ほれ見ろ! 松姫さまと地元の呉服店の姫様であらせられるユーミンさんは繋がってなくもないぞ! それにしても追ってこの地に配属となった千人同心は、「姫様っ!(嗚咽)」……旧主の姫君がこの地に健在と知ってどれだけ感激したことか。いやあ、想像するだにこっちまで感激しちゃいますね。家康公も信松院を手厚く扱ったらしく、公儀徳川が武田を仇敵ながらもリスペクトしている感がこの街のそこかしこに感じられ、遠い目、というよりは涙目っす。ぴえん(←死語)。 ■さまざまなルーツを持つ人々を包み込む街・八王子の魅力 (by Mummy-D) 八王子には「八王子会」ってのがあって、名だたる芸能人や、自分の周りのミュージシャンなんかも参加してて、とにかくめっちゃ楽しそうなんだよね。みんな地元愛深そうで、なんかちょっと羨ましいのだが、今回八王子の魅力のほんの一部、歴史的側面を深掘りして、なんかちょっとわかったような気がしたなあ。なんだろう、東京なんだけど東京じゃないっつーか、独立した地方都市っつーか、包容力ある街っていうのかな?それは徳川の直轄領なのに八王子城址行けばドーンと北条の三つ鱗が誇らしくはためいていたり、信松院行けばそこかしこに武田菱がこれまた誇らしげに刻まれていたりみたいなところにも表れてるし、地政学的な条件ももちろんあるんだと思うんだけど、ある種の「ミクスチャー感」なのかもしれないなあと思わされました。いまだにいろんなルーツを持った人たちそれぞれの「地元」なんだろうなあ。あの辛かった、八王子城本丸から「どーこだ?」とSNSで発信したらファンキー加藤から速攻返信来ました。 「Welcome to 八王子!」 ※2023年12月現在、八王子市周辺で熊の目撃情報が多発しています。八王子城付近を訪れる際はくれぐれもご注意ください。