ホンダ、栃木に全固体電池のパイロットライン 20年代に量産開始
ホンダは、量産化に向け独自に研究開発を進めている全固体電池のパイロットラインを、栃木県さくら市の本田技術研究所(栃木Sakura)の敷地内に建設した。今後、量産プロセスの確立に向けた技術検証を行ないながら、並行してバッテリーセルの基本仕様を決定し、2020年代後半に投入する電動モデルへの搭載を目指す。 【この記事に関する別の画像を見る】 パイロットラインの延床面積は約27,400m2で、電極材の秤量・混練から、塗工、ロールプレス、セルの組み立て、化成、モジュールの組み立てまでの各工程の検証が可能。建屋は2024年春に竣工し、検証に必要な主要設備の搬入をほぼ完了している。 稼働開始は2025年1月を予定しており、バッテリーセルの仕様開発と並行しながら、各工程の量産技術や量産コストなどの検証を行なう。 開発する全固体電池は、従来の液体リチウムイオン電池の製造プロセスをベースにしながら、全固体電池特有の工程となる固体電解質層の緻密化に寄与し連続加工が可能な、ロールプレス方式を採用。電極界面との密着性を高めるとともに生産性の向上を目指している。 さらに、正極と負極の一体化を含む一連の組み立てプロセスを集約するとともに高速化し、1セルあたりの製造時間の大幅な短縮を目指す。 量産開始は2020年代後半を予定しており、当初は従来の液体リチウムイオン電池に対して2倍の航続距離と、電池サイズ50%、電池重量35%、電池コスト25%の低減を目指す。また、2040年代までには、航続距離2.5倍以上と、電池サイズ60%、電池重量45%、電池コスト40%の低減を目指すとしている。 開発した固体電池は、四輪車だけでなく二輪車や航空機などにも適用する予定。適用範囲を広げることで、スケールメリットを活かしたコスト低減を実現する。 所在地は栃木県さくら市下河戸1220-32。敷地面積は約12,900m2で、延床面積は約27,400m2。投資額は約430億円。
Impress Watch,清宮信志