「EVは国からお金がもらえるからお得」と聞きました。来年の買い替えならガソリン車からの乗り換えもアリですか?
政府は環境問題に対する取り組みの一環として、EV車を購入した人に対して補助金の支給を行っています。経済産業省が行っている「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を活用すれば、最大で85万円の補助金を受け取ることが可能です。 「EVは国からお金がもらえるから、ガソリン車を買うよりもお得」という意見も目にしますが、本当に正しいのでしょうか? 本記事では、EV車を購入したときに受け取れる補助金や、EV車とガソリン車を比較したときの、具体的なコストについて解説します。
本体価格はEV車よりもガソリン車のほうが安い
経済産業省は、電気自動車(EV)や小型・軽電気自動車(小型・軽EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などの購入費用の一部を補助する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」を行っています。 現在の制度では、最大で65万円の補助金を受け取ることが可能です。航続距離や電費、外部給電機能の有無などによっては最大で85万円に増額されます。 「ガソリン車には補助金がないから、EVを買ったほうが得なのでは?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか? 車種によって異なりますが、結論として「本体価格はEV車よりもガソリン車のほうが高いため、補助金を加味してもガソリン車のほうが安く購入できる可能性が高い」です。 あくまでも目安ですが、電気自動車の本体価格は新車で300万~400万円程度、ガソリン車の本体価格は新車で100万~300万程度です。 最大限補助金を受けたとしても、購入にあたっての初期費用に関しては、ガソリン車のほうが安く済むケースが多いといえそうです。
維持コストはEV車のほうが安くなる可能性大
購入費用はEV車よりもガソリン車のほうが安い可能性が高いですが、購入後の維持コストに関してはEV車のほうが安く抑えられる可能性が高いです。 例として、1kWhあたり約5km走行できるEV車とします。毎日50km走行した場合、 1ヶ月に必要な電力は「1500km(毎月の走行距離)÷5km=300kWh」となります。自宅で充電する際の電気代を「1kWhあたり31円」とした場合、1ヶ月あたりの電気料金は「300kWh×31円/kWh=9300円」です。 続いて、自宅以外で充電するケースを試算します。EVスポットで充電するには「充電カード」が必要で、料金は契約する会社やプランによって差があります。1日に50km走行し、月会費5000円・充電に関する料金を10分あたり300円というケースで1ヶ月あたりの電気代をシミュレーションしてみます。 EVスポットの出力を30kWと仮定すると、1ヶ月あたりの電気代は「300kWh(1ヶ月に必要な電力)÷30kW×1800円(1時間あたりの充電料金)=1万8000円」となります。月会費の5000円を追加すると、毎月の維持コストは2万3000円程度です。 一方で、ガソリン車のガソリン代はどうなるでしょうか。一般的なガソリン車の走行距離を「1リットルあたり15km」とした場合でシミュレーションします。 毎日50km走行した場合、 1ヶ月に必要なガソリンは「1500km(毎月の走行距離)÷15km=100リットル」となります。ガソリン代が1リットルあたり180円とすると、ガソリン車の維持コストは毎月1万8000円です。 また、ガソリン車のメンテナンスにおいて、主に以下の費用が発生します。 ・エンジンオイル ・ラジエーター ・ラジエーターキャップ ・冷却水 ・エアフィルター ・Vベルト ・ブレーキパッド 具体的なメンテナンス費用は車種によって異なりますが、年間で2万~3万円程度が目安です。トータルで考えると、維持コストに関してはEV車のほうが安く抑えられる可能性が高いでしょう。 保有する期間が長ければ長いほどコストに差が付きますから、新車の購入や車の買い替えを検討している方は、EV車の購入を検討する余地があります。