【MotoGP】「赤ん坊のように泣いた」フェルナンデス、初優勝のチャンスが転倒で潰える。原因はタイムロス“埋め合わせ”の意識
トラックハウス・レーシングのラウル・フェルナンデスは、MotoGP第6戦カタルニアGPのスプリントレースで、一時は先頭をリードしたが、転倒リタイアに終わった。このとき彼は「赤ん坊のように泣いた」という。 MotoGP第6戦カタルニアGP:決勝スターティンググリッド フェルナンデスは今年がMotoGPクラスでの3年目のライダーで、アプリリア陣営では2年目。カタルニアGPの予選では、キャリアベストとなる3番手を獲得した。彼はアプリリア陣営では、唯一2023年型のマシンを使っている。今後2024年仕様のシャシーを入手できる見込みではあるが、今回は型落ちマシンでの好結果だったのだ。 迎えたスプリントレースではスタートでポジションを落とすことなく、トップ集団で走行。序盤から前を積極的に狙って、3周目にはペドロ・アコスタ(GASGAS)を追い抜いてトップに立った。 そこからフェルナンデスは2番手のアコスタに対してぐんぐんと差を広げていった。しかし5周目、彼はターン10でクラッシュを喫ししてしまい、スプリントレースでの勝利のチャンスを活かすことができなかった。 フェルナンデスはこの時の状況について、ターン9でロスしたタイムを取り返そうとしていたのだと説明し、転倒後には「赤ん坊のように泣いた」と赤裸々に語った。 「(レース後の取材時点では)今は少し気分も落ち着いた。でもピットに戻ってくる前には、赤ん坊のように泣いていたんだ」 「正直、僕としてもチームに謝りたい。凄くバカなミスをしてしまった」 「今日は凄く快適に感じられていて、全てがコントロール下にあると感じていたんだ」 「あのクラッシュはミスだった。僕はひとつ前のコーナー(ターン9)でミスをしたのを埋め合わせようとしていたんだ」 「理由は分からないけど、ターン9で大きく(マシンが)動いてしまっていた。それでタイムを少しロスしてしまったんだ。それで(ターン10では)ブレーキングでタイムを稼ごうとした。そして『クソッ、膨らんじまった!』という感じだった」 「その瞬間、僕はラインを閉めようとしていたんだけど、クラッシュしてしまった」 「100%僕のミスだったよ。タイムをあまりロスしたくなくて、あの瞬間は野望を持ちすぎていたのかもしれない」 「だけどこれもレースの一部だ。この位置を走れるんだと分かったから、正直それはハッピーだよ。競争力があることが分かったんだ。これは時間の問題なんだ」 「僕らには時間が必要だ。僕がやりたいように全てをまとめ上げる必要があるし、今は正しい道にあるよ」 ■大きな進歩を見せたフェルナンデス フェルナンデスは2021年にMoto2で8勝を記録し、ランキング2位で翌年にMotoGPクラスへと昇格した。 テック3での初年度は14ポイント獲得に留まり、アプリリア陣営に変わったRNFへ移籍した2023年はトップ5フィニッシュを1回の51ポイントと改善したが、上位争いには絡めないままだった。 2024年シーズンもフェルナンデスは厳しいスタートを切っており、まだ決勝でトップ10フィニッシュを果たせていない状況にあった。 そして彼に対しては2025年に向けてシート喪失の圧力がかかった。トラックハウスの買収によってアメリカ系に生まれ変わったチームが、来季のライダーに米国人ライダーを起用するのではないかという考えもあり、Moto2のジョー・ロバーツのような存在からプレッシャーをかけられるようになったのだ。 フェルナンデスはカタルニアGPではMoto2時代のようなフィーリングを得られたと語る。そして、スプリントレースで失敗した今は、決勝レースに向けて集中して努力していくと話した。 「クラッシュは僕らが望んでいることじゃないし、したくなかったよ。でもリードしているときに転んでしまったんだ」 「僕らはとても上手くやれていると思うし、日ごとに快適に感じられるようになっている」 「今日はこのバイクでとても大きなチャンスがあったと思うし、アプリリアも凄く助けてくれた。初日はとても難しい1日になっていてバイクを快適に感じられていなかったんだ」 「だけど今日は快適に感じられていて、ライディングが簡単だった。Moto2時代のように感じられていたんだ。これは重要なことだった」 「OK、僕はミスをしてしまったし、過去に戻ることはできない。僕は自分のしたことに集中する必要があるし、明日に向けて集中する必要があるんだ。明日も、同じように頑張るよ」 「僕らにはペースがあったと思うし、とても楽だった」 「クラッシュは結果を残そうとしたわけではなくて、単に僕がミスってしまったことによるものだ。でも乗っているときは落ち着いていたし、凄く快適だったんだ」 なおフェルナンデスは今回の大きな改善に寄与したのは、電子制御だったと説明している。 「初日から僕たちはセットアップに少し取り組んでいたんだ」 「僕としては、重要だったのは電子制御の部分だ。電制への考えを変えて、自分のスタイルをこうしたコースへ適応させるために、少しスタイルを変えようとしていたんだ。もちろん、簡単じゃないけどね」 「(スロットルのデリバリーを)ソフトにしただけではなくて、速く走るために何かを考える必要がなくなったんだ」 「それがとても重要だった。今日は自分で思ったとおりにライディングできていたけど、何をすべきか考える必要がないんだ。それが僕らの変わった所だよ」
Lewis Duncan