金メダリスト村田が3回KO勝利で来春WBOミドル級戦にGOサイン!
リング上のインタビューでは珍しく「やっぱり世界チャンピオンになりたいです」と、心の叫びを口にした。村田は控え室で改めて、その真意について尋ねられ「これまで砂漠に浮かぶ幻のようにおぼろげだった世界がやっとまぢかに見えるようになってきた」と、独特の言い回しで答えた。 試合後、本田明彦会長は「プレッシャーもよかったし、スタイルができてきた」と評価。「精神、頭(ボクシング頭脳)、パンチ力、体力は世界レベルにある。まだテクニックに足りない部分はあるがソーンダースが相手ならば勝負はできる。倒すか、倒されるかの試合になるだろうが」と世界戦へGOサインを出した。 本田会長の説明によると標的にしているWBO世界ミドル級王者のビリー・ジョー・ソーンダース(27、英国)が対戦を熱望していたWBO世界スーパーウエルター級王者のサウル“カネロ”アルバレス(26、メキシコ)が、5月にフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(30、メキシコ)とのビッグマッチを計画中で、一部の海外報道では、すでに合意とも伝えられている。現在、条件交渉中のこの試合が正式に決まれば、当面の対戦相手のいなくなったソーンダースへの村田の挑戦が実現する方向だという。 WBOサイドが、ソーンダースの次期指名挑戦者にカネロを指名したという発表があったが、これもカネロ対チャベス・ジュニアが流れた場合を想定してもの。この試合が行われば、村田がソーンダースに挑戦できるという確認をWBOサイドに取り付けているという。現在の英国は、ボクシングバブルで敵地に乗り込まねばならない可能性が高いが、帝拳陣営は、どんな条件にでも対応する準備を整えている。 また最悪、ソーンダース戦が流れても、来年9月には、3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)とカネロの頂上対決が、実現する予定で、この試合後には、ゴロフキンがタイトルを返上、スーパーミドルに階級を上げる方向のため空位となるタイトル争いに村田が参戦できるチャンスが出てくる。本田会長は「いずれにしろ来年には世界のチャンスは作れるだろう」と見通しを語った。 カネロの動きは来年1月には決定するという。 過去にミドル級では竹原慎二が1995年に日本人として初めてWBAのタイトルを獲得しているが、ゴロフキン、カネロという2大ビッグスターがいる現在のミドル級は、その時代よりも、さらに過酷で難しい階級となっている。ビッグマネーが動き、現在のボクシングマーケットの最高峰にあるミドル級での世界挑戦が実現して村田がベルトを巻くことができれば、テニスの錦織圭のグラウンドスラム制覇、ゴルフの松山英樹のメジャー制覇と同等の価値を持つほどの快挙になるだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)