ジェンダーレスでオーガニック。ファッションの未来を見据える「ノルウェージャン・レイン」
「ノルウェージャン・レイン」は、欧州きっての降雨都市、ノルウェーのベルゲンを拠点とするレインライフスタイルレーベル。東京・神田の昭和初期に建てられた元ガラス問屋をリノベーションしたショップが、オープン5周年を迎えた。ある大雨の日、デザイナーのT-マイケルとクリエイティブ・ディレクターのアレキサンダー・ヘレに話を聞いた 【写真】「ノルウェージャン・レイン」デザイナーのT-マイケルとクリエイティブ・ディレクターのアレキサンダー・ヘレ
エコロジーとサスティナビリティ。パンデミック中に考えた未来
このブランドは13年前のスタート当時から、エコロジーを重要だと考えてきた。防水性や撥水性などの高い機能を保ちながらも、使用する素材のすべてがリサイクル可能であることを目指し、生産に必要なエネルギーや服の耐久性なども含めた総合的な観点から、現時点でもっとも環境に負荷を与えないと考えられる方策を取っている。公式ウェブサイトには、彼らの取り組みが、達成されていることだけでなく未達成なことも含めて、明快かつ誠実に記されている。 そして、ここ数年世界を覆い尽くしたパンデミックを経て、考えがさらに進化したという。 「パンデミックは、私たちに腰掛けてじっくり考える機会を与えました。世界は、ものを作りすぎている。これは持続可能ではありません。私たちは多くの在庫を抱えてバーゲンセールを行うという現在のファッション・ビジネスのシステムを見直し、“コンパクト ストア”という考え方に辿り着きました。たとえば、カラーバリエーションを黒、ネイビー、そしてダークグリーンにとどめ、ピンクやオレンジを欲する数人に対しては、オーダーメイドで対応する、といったようなことから始めています」とヘレ。 「私はテーラー出身ですので、欲しいといわれれば、どんなものでも作れます。昔ながらのやり方ですね。環境問題やテクノロジーなど、すべての要素をひっくるめて、古いやり方と新しいやり方を調和させることが重要だと考えています。確かにいえることは、私たちが作っているのは、ファッションではなく、服だということです」とT-マイケル。 1シーズンで買い替えられるファッションではなく、長く愛用される服。雨にさらされる「ノルウェージャン・レイン」の服は、高い耐久性も求められる。修理も丁寧に、リーズナブルな価格で対応しているという。 「私たちは未来を信じているのです」と口を揃えた二人。エコロジカルであり、サステナブルであることと、スタイリッシュであることは両立するのだ。