夏の甲子園で初めて導入された朝夕「2部制」 現場の監督、選手たちはどう対応し、何を感じたのか?
今夏の甲子園では、大がかりな「実験」が行なわれた。高校球児の健康面に配慮して、1日の試合を「午前の部」と「夕方の部」に分ける2部制が試験運用されたのだ。 【写真】ヒロド歩美キャスターが甲子園と阪神タイガースを語る・インタビューカット集 実施されたのは開幕日から大会3日目まで。新設された「夕方の部」を戦った現場の選手や指導者の声を聞いてみた。 【時間が決まっているので準備しやすい】 「夕方5時開始と正確な時間が決まっているので、準備がしやすかったです。午前中はしっかりと寝て、午後からいきなりスイッチを入れようと調整していました」 そう語ったのは、高校球界屈指の遊撃手である藤本陽毅(京都国際)だ。藤本は1年生だった2022年夏の甲子園初戦で第3試合のナイトゲームを経験している。 「いつもの第3試合、第4試合だと時間が読めないので、そのほうがきついです。甲子園は何が起こるかわからないですし、いつ試合が終わるかわからないですから」 17時試合開始の場合、起床時間はチームによってまちまちだった。 「いつもは早寝早起きなんですけど、今日は遅く起きました。そのあたりはちょっと面倒臭かったですね」 そう言ったのは南陽工の山崎康浩監督だ。ただし、「遅く起きた」のレベルが違う。選手に何時に起きたか確認すると、「午前6時」だという。 「普段は朝4時半から5時に起きて朝練をしています。自分たちは力がないので、みんなが寝ている間に練習をするんです。6時起きはずいぶん遅い感覚でした」(南陽工・斎郷優太) 南陽工と対戦した菰野の森田亮太監督は「朝はいつもどおりの時間帯に起きました」と語ったが、南陽工水準の「遅い起床時間」より遅い7時起床だという。 ただし、森田監督が「いつもどおり」にこだわったのは理由がある。 「(時間によって)甲子園の風、太陽の位置など押さえるべきところはミーティングで押さえましたが、そこと戦うわけではないので。振り回されないように、特別に意識することなく戦おうと選手に言っていました」