元顧問死亡、二審も賠償退ける 大川原化工機巡り 東京高裁
起訴が取り消された機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)への捜査を巡り、元顧問が死亡したのは勾留中の拘置所の対応に問題があったためだとして、遺族が国に計1000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が6日、東京高裁であった。 木納敏和裁判長は請求を退けた一審東京地裁判決を支持し、遺族の控訴を棄却した。 判決によると、相嶋静夫さん=当時(72)=は勾留中の2020年9月、東京拘置所で体調を崩し、翌月に胃がんが判明。病院に移り治療したが、21年2月に死亡した。 木納裁判長は、拘置所側が一定の対応をしているとして、治療義務などに反するとした遺族側主張を退けた。転院先や時期を相嶋さんらに説明しなかった点も義務違反とは認めず、訴えを退けた。 その上で、結果的に相嶋さん側が別の病院での検査を手配することになり、拘置所側が手配した診療が繰り返しキャンセルされたことに言及。「今後はこのような事態を防ぐ対応の検討が望まれる」と述べた。 相嶋さんの長男(51)は判決後の取材に「棄却は残念だが、拘置所の対応を改めるべきだとした点は評価できる」と話した。