実際の健康寿命はもっと長かったと判明。にもかかわらず70代で老けこむ人に共通する思いこみとは…
「年をとったら、長期間介護が必要になる」と思っている人は多い。平均寿命と健康寿命との差がそのまま介護期間と思いこまされているからです。でももう一つの算出方法では、その期間が男性は1.4年、女性3.1年と、男性は6分の1、女性は4分の1と縮まります。 【前編】何歳からでも遅くない! 脳を若返らせる習慣 残りの人生を楽しんで生きる高齢者が一人でも多くなってほしい、という目的で書かれたのが『医者にヨボヨボにされない47の心得 医療に賢くかかり、死ぬまで元気に生きる方法』です。 そこで今回は、このように実際の介護期間の検証と、元気な時間が伸びた分どういう心得なら若々しく幸せにいられるかお話しします。
男性約9年、女性約12年の算出方法とは
高齢者はこういうものと思いこんでいるものに、「年をとったら、長期間介護が必要になる」というのがあります。現在、平均寿命と健康寿命の差は、男性約9年、女性約12年。この期間、まるまる介護が必要になったり、寝たきりになったりすると思っている人がいますが、そんなことはありません。 実はこれは、健康上の問題で生活に何らかの支障が出ているかどうかをアンケート調査によって主観的に測って出した数字です。動きがゆっくりになっても動けているのに、若いころと比べればテキパキ動けなくなったなというだけで「生活に支障がある」と捉えている例も含まれている可能性があります。 こういう主観に基づいて算出する方法の場合、健診で病気を見つければ見つけるほど、健康寿命は短くなっていきます。だから、健康寿命を延ばしたかったら、健診を受けないほうがいい、と私は思います。年をとれば何かしら病気が見つかりますから、「健康である」と自信をもって答えられる人はどれだけいるでしょうか。
65歳からの平均自立期間で算出すると
実は、健康寿命には、別の算出方法があります。その方法では、「自立」とする基準を、主観的なものではなく、介護保険の要介護2未満としています。65歳の人が要介護2になるまでの平均期間を「65歳平均自立期間」と言い、65歳の平均余命と比べて、どのくらいの期間を占めるかを知ることができます。 このデータは、国民健康保険中央会が算出していますが、2024年発表の2022年統計情報によると、65歳の平均余命から自立期間を差し引くと、男性では1.4年、女性では3.1年となりました。これが、要介護2以上の状態になる平均期間です。厚労省の「健康寿命」とは大きな開きがありますが、私はこちらのほうが、実態に近い「健康寿命」ではないかと考えています。 長生きするのが怖いと言う人がいますが、そのなかには「長い介護期間」というのが大きな心配の種だと思います。しかし、実際には思っているより何分の一か短い。だったら、介護期間以外の長い期間を何をして楽しむかを考えたほうが、ずっといいのではないでしょうか。