10月の企業向けサービス価格は伸び拡大、人件費転嫁に広がり-日銀
(ブルームバーグ): 日本銀行が26日に公表した10月の企業向けサービス価格指数は、人件費を価格に転嫁する動きの広がりなどを背景に前年比上昇率が拡大した。
10月は前年比2.9%上昇と前月の2.8%上昇(改定値)を上回った。市場予想は2.5%上昇だった。このうち運輸・郵便(除く国際運輸等)、情報サービスなど人件費投入比率の高い業種で構成する高人件費率サービスは3.3%上昇となり、2015年3月の3.4%上昇以来、約9年半ぶりの高い伸びとなった。
日銀によると、年度下期の価格改定期でもあり、人件費を価格に転嫁する動きが幅広く見られている。具体的には、内国郵便・信書便をはじめ、税理士サービス、洗濯、専門技術者派遣のほか、高人件費率サービス以外でも自動車整備やテレビ番組制作で人件費を含むコスト上昇を転嫁する動きが出ているという。
日銀は2%の物価安定目標の実現に向けて、高水準の賃上げをサービス価格などに転嫁する動きの持続性と広がりを注視している。円安も背景に、市場では12月の金融政策決定会合での追加利上げ観測が強まっている。日銀が経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続ける方針を示している中で、今回の結果は市場観測をサポートする内容と言えそうだ。
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Sumio Ito