【追悼】フジコ・ヘミングさん「ピアノと同じくらい情熱を注いだ絵画」猫、家族、浮世絵の影響も
フジコ・ヘミングに聞く、絵にまつわる4つのQuestion
Q1. 絵を描き始めたのはいつ? 覚えていない。でも相当幼いころから絵を描くのが好きだったと思う。青山学院初等部在学中に全校で1位の賞をもらったこともある。 Q2. 絵を誰かに習ったことは? ない。叔母が日本画家、父はデザイナーだったけど、彼らに習ったかどうかは覚えていない。別に、習わなくたって構わないじゃない。 Q3. 絵を描くうえで影響を受けた人は? 葛飾北斎、藤田嗣治、ゴッホ、ロートレックね。 Q4. フジコさんにとって絵を描くこととは? 子どものころは、音楽より絵から感銘を受けることが多かった。私はいつも色を着けるようにピアノを弾いているの。昔、下北沢を歩いていたら「フジコさんですね。音楽のことはよくわからないけど、あなたの絵がいちばん好きです」と知らない人から声をかけられたことがあって、それがとても嬉しかった。いまも私にとって、絵を描くことは最高の楽しみよ。 フジコ・ヘミング●第2次世界大戦前のベルリンで生まれ、日本に移住。5歳のころ、母の手ほどきでピアノを始める。東京芸術大学卒業後再びドイツへ。病によって聴力を失うも、懸命な治療で片耳の聴力をわずかながらに取り戻し演奏活動を続ける。1999年、日本で放映されたテレビ番組をきっかけに人気が再燃。名だたる交響楽団と共演を重ねるなど、無二の音楽を国内外のファンへ届け続けている。 画=フジコ・ヘミング 協力=コンサート ドアーズ 編集・文=八木あきほ(婦人画報編集部) 『婦人画報』2024年5月号 【追悼】フジコ・ヘミングさんご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。心を揺さぶる演奏、苦難を乗り越え年齢をも超越した活動は、多くの人を魅了し、我々もまた勇気づけられてきました。フジコさんの生きた時代にその才能に触れることができたことを幸運に思います。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。 2024年5月2日 婦人画報編集部一同