世界“冬の都市”が冬資源の活用法を発表 札幌市で開催「市長会議」(下)
【北海道・札幌】1982(昭和57)年に札幌で開かれた「第1回世界冬の都市市長会議」。以降、2年に1度開催され、第17回となる今年は34年ぶりに札幌で催されることになりました。
参加都市がそれぞれの事例を発表
初日の7月27日の大きなテーマは「会員都市による事例紹介」。全7市がそれぞれの都市の事例を発表しました。後半4都市の事例について報告します。
■ジャムス(中国)
「氷雪資源を活用し都市を発展させる」 発表は周啓涛(シュウ・ケイトウ)副市長。ジャムスは中国大陸でもっともはやく太陽が昇る都市で、習近平国家主席は「黒竜江の氷雪は金山銀山」とその資源の素晴らしさを讃えている。2005年には「雪かけ祭り」でギネスに挑戦(世界記録を達成)、2006年には対ロシア市場の開発を目指し、冬季観光イベントの突破口を作った。現在、氷雪資源を活用した事業の拡大を政府主導で進めている。氷雪アートクリエイターの招聘・発掘、レジャー施設の建設、雪原・樹氷・流氷など自然を楽しむイベントなどの開催などを通して、冬の観光を充実化。また、氷雪産業チェーンの拡大……宿泊、飲食やショッピングなどの産業を連携させることで経済を拡大させていく。2022年には北京で冬季五輪が開催されるので、さらなる発展につながると考えている。
■ノボシビルスク(ロシア)
「厳しい気象条件における開発の実践」 発表はアレクセイ・コンドラーチェフ副市長。ノボシビルスクの人口はロシア第3位、厳しい気象条件にある都市としては世界最大。シベリア鉄道の開通により発展してきた都市で、1986年からは地下鉄も開通した。ノボシビルスクは学術都市としても有名(大学が34校ある)で、国際宇宙ステーションでも活用されているエアロゲルが開発された場所。極寒でも窓ガラス1枚で暖かい家の建設も可能になる。冬は長く寒くエネルギーコストが高いので、新しい素材・構造・機械の発明が必須。永久凍土に杭を打つ技術も開発し、極北地域の特殊建築物の建設に役立っている。