【ラグリパWest】癒えぬ悲しみ。天理大学ラグビー部
<時に熱く、時に優しく、心技ともに頼りになるリーダー> ラグビーマガジンの付録「100回全国高校大会ガイド」には上野のことが評されている。関商工3年時は主将だった。 この2020年度の大会は1回戦で新潟工に24-26で惜敗した。上野が競技を始めたのは小1だった。関ラグビースクールから関商工に進んだ。1年から正選手。3年連続して冬の全国大会に出場している。 高校からのリーダー格を失い、天理は動揺した。大学はカウンセラーを入れ、150人ほどの部員と個人面談をする。2月には2週間ほど練習をオフにした。小松は話した。 「春はしんどかった」 春季大会は関西学院、近大に負け、4位だった。前年からひとつ順位を下げた。 夏合宿は早明には勝ち、帝京と東海には敗れた。小松は4つの練習試合を総括する。 「浮き沈みはあるけれど、頑張れた」 上野のことにかかわらず、チームは存在する。シーズンはやってくる。奮戦することによって、上野は昇華されてゆく。 シャツの裾には「US」の英頭文字を入れた。配色は大学の紫とジャージーの黒だ。 「試合前のアップで着ようと思っている」 小松は使用意図を語る。上野が籍を置いた体育学部は従来の除籍ではなく、来春、在籍証明書を出す方向で動いてくれている。 上野が学んだこの大学は、外国語学校をその祖にしている。天理教の海外布教のために1925年(大正14)に作られた。同年、ラグビー部も創部された。天理教における死の考え方を小松は説明する。 「人には魂(たましい)がある。体は神さまからの借りもの。亡くなれば体をお返しして、また別の体を借りる。そして生き続ける」 その教えを引けば、また会えることもある、ということだろう。小松は言った。 「そうたのこと、忘れない」 記憶にとどめれば、再会しやすい。その時にはよき報告を。関西リーグは9月22日に幕が開ける。天理は摂南と対戦する。 (文:鎮 勝也)