暫定世界戦決定の岩佐がバンタム統一を提唱!
相手のハスキンスは、距離をとって足を使い、スウェーとウェービングで、クネクネと動きながら、いろんなところから単発のパンチを繰り出してくるナジーム・ハメドばりのトリッキーなサウスポー。地元の声援をバックに“当て逃げ”的にポイントを稼がれ、岩佐の攻撃が最後まで空回りしてしまう危険性がある。34戦31勝(13KO)3敗の戦績で、その1敗は、山中が去年の4月に軽くあしらったシュテファーヌ・ジャモエ(ベルギー)にボディで逆転KO負けを喫したもの。 セレス会長は、「いやなタイプではない。左の一発は怖いが、打たれ弱い。岩佐が体格でも上回っている。右のリードパンチがポイント。カウンターも狙っていくし、中盤から終盤に倒せると思う」と言う。 岩佐も「やりやすい。敵地だから、イーブンのラウンドはすべて相手と思っておく。アグレッシブに攻めて中盤から後半に倒す」と考えている。すでに4月下旬に千葉のゴルフ場と鴨川の海岸を使って走り込み中心の1次キャンプを終え、この10日からは、フィリピンからダジェ・ガブタンらサウスポーのパートナーを2人呼んで、2週間、週に4度のスパーリングペースで、最終調整に臨む。 現在、バンタム級には、WBCの山中、WBOを返上したが、この9日にWBA王者と対戦する亀田和毅(亀田)、その返上したWBOタイトルの決定戦に挑む同級1位の赤穂亮(横浜光)と、もしかすれば、日本人が4団体すべてのベルトを独占する可能性も出てきた。 「乱立と表現していいのかどうかわからないけれど日本人王者が多すぎる。ファンから見ると誰が世界チャンピオンがわからない。山中さんにはリベンジという気持ちもあるし、世界をとったなら防衛戦よりも統一戦を優先したいという気持ちがある。マッチメイクには、いろんなビジネスが絡んでくるので、僕が勝手に決められることではないが、誰が一番強いかを決める興行があっても面白いんじゃないですか」 あくまでもベルトを腰に巻いてからの夢構想ではあるが、暫定王者が正規王者に認定される可能性も高いとあって、岩佐は、異例の日本人王者による統一王者トーナメントを提唱した。 中学卒業時の文集に「25歳で世界チャンピオンになる」と書いた。 「正直、あのときから世界チャンプになれるという自信があった。その自信が揺らいだことはなかったし、間違っていなかったことを証明したい。会長に憧れ、ジムにきて、世界チャンプだった会長の指導通りにやれば世界チャンプになれるということもベルトを巻いて証明したい」 6月5日にも、現地入りする予定だが、入場曲は長淵剛「ひまわり」に、トレードマークでもある「短めの」気合十分のパンチパーマをあててイギリスのリングに乗り込む。ザ・日本男児の快挙に期待したい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)