入山料はいくらに?出遅れた静岡県も来夏の富士登山規制に動きだす・登山口にゲート設置困難…対策や費用はどうする
富士山の環境保全や登山者の安全確保に向け、2024年に山梨県が導入した登山規制は弾丸登山が疑われる夜間登山者が95%減少するなどの効果が確認された。一方で規制が緩いため「登山者が流入してきた」と分析した静岡県も、来夏の規制導入に向け動き出したが固有の課題もあるようだ。 【画像】毎年多くの登山客でにぎわう富士山だがその”数”が問題となっている
富士山の登山規制が山梨県側でスタート
2024年11月7日。1894年の統計開始以来最も遅い初冠雪を記録した富士山。 2024年も9月10日の閉山日までに多くの登山者が訪れたが、例年とは大きく違う様子も見られた。 山梨県では夜通しで山頂を目指す、いわゆる弾丸登山や登山道の混雑に伴う事故を防ぐため、吉田ルートの登山口にゲートを初めて設置。 午後4時から翌午前3時まではゲートを閉鎖することで通行を禁止するとともに1日の登山者数の上限を4000人と定めた。 さらに入山規制に関する条例を制定し、通行料2000円の支払いを義務化。
規制の緩い静岡側に登山者が流入
一方、静岡県側はというと6月10日に事前登録システムを立ち上げ、登山の日時や宿泊予約の有無などの確認を始めたが、あくまでも任意であり個々人の意識やモラルに委ねる形とした。 その結果、山梨側の登山者数が前の年から約16%減ると同時に弾丸登山が疑われる夜間の登山者数が95%以上減少したのに対し、静岡側は3つある登山ルートを利用した登山者数の合計が前年より6.4%増加。 県は静岡側の規制が緩かったことで「山梨側から登山者が流入した」と分析していて、このため、静岡・鈴木康友 知事は9月の定例会見で「山梨県と足並みをそろえた条例による登山規制および通行料の徴収を検討する」と話した。 11月14日に開かれた環境省や静岡・山梨との会議では、両県の対応の差が登山者にとってわかりにくいという指摘もあり、静岡県も入山料の徴収や夜間における通行制限を検討していることを明らかにしている。
3ルートあるための悩みが
「山梨県と条件が違うところがあるのでどこまで統一できるか」と不安をのぞかせる一方で「静岡県としてできるだけ1つの富士山を意識しながらやっていきたい」と話すのは静岡県 富士山世界遺産課の大石正幸 課長だ。 県によると静岡側の登山口の場合、地形的にゲートの設置が難しいことから数カ所に小屋を建てるとともに監視員を配置し、入山料の徴収や山小屋の予約などを確認する予定だ。 ただ、入山料の金額は登山者の増減に直結し、山小屋の経営や周辺の観光業にも波及するため、県は丁寧な議論を進める考えだが、仮に山梨側と同じ2000円に設定した場合、静岡側の3つある登山道すべてに対応できるだけの費用を捻出できるのかという問題もあり、担当部署も頭を悩ませている。 大石課長は「(静岡側は)3ルートあるのでコストがかかることはもともと課題だった。最小限のチェックだけにするとか、工夫してコストが削減できないか検討している」と説明した。 こうした中、県は関係者と意見交換を行い任意だった1000円の保全協力金を廃止し、4000円を軸に入山料を徴収する方向で検討を進めている。 また、3ルートの登山口での通行規制は同じ時間に統一する方針だ。 その上で関連する条例は2025年の県議会2月定例会での制定を目指しており、世界文化遺産の富士山を後世に引き継いでいくためにも新たな富士登山の形が始まる見通しだ。 (テレビ静岡)
テレビ静岡
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