「新之助・吉宗とともに成長した」50周年の松平健 明治座で暴れん坊将軍&マツケンサンバ
ある時は庶民に紛れて悪を裁く江戸のヒーロー、ある時は金ぴか衣装で踊り歌いまくる俳優・歌手の松平健(70)による「松平健芸能生活50周年記念公演」が7月6日から、明治座(東京都中央区)で上演される。第1部は「暴れん坊将軍」、第2部はマツケンサンバⅡなどを披露する「マツケン大感謝祭」の2部構成。自身の歩んできた50年の芸歴について「時代劇の魅力を知ったからこそ、ここまでやってこられた」と振り返り、「みんなを笑顔にしたい」と意気込んだ。 【写真】「松平健芸能生活50周年記念公演」の「暴れん坊将軍」。将軍が身分を隠して悪を斬る、おなじみの展開だ ■師匠は勝新太郎 芸能界に足を踏み入れたのは昭和49年。俳優の勝新太郎に弟子入りし、付き人からスタートした。「師匠と巡り合ったことは、自分の人生のターニングポイント」と目を細める。 演技はもちろん、ファンが求める立ち居振る舞いや周囲への気配りなど、芸能界で生きる上で必要な全てを、背中から学んだ。勝は平成9年に65歳で亡くなったが、すでに年齢を超えた今でも「師匠を超えることなんて、この先もありえない。師匠とはそういうもの」と語る。 昭和53年にテレビ朝日系の時代劇「暴れん坊将軍」の主人公、徳川吉宗役に抜擢(ばってき)されたときも、師匠のありがたみを実感した。 ドラマの面接に合格し、喜びを爆発させたのもつかの間、台本を渡された後で、ふと不安に襲われる。「当時、東映京都撮影所は、とても怖いところだという噂があった」。それまでの時代劇では、主役を全くの新人が務めるのは珍しく、周囲は映画での実績があるスターばかり。スタッフも海千山千のベテランが多かった。 意地悪をされるかもしれないと、緊張しながら撮影に臨んだが、思ったようなトラブルは起きなかった。「師匠が『今度から、うちの松平が行くから、よろしくな』と根回ししてくれていた」と、今でも感謝している。 ■時代劇「再燃」を実感 将軍吉宗が、貧乏旗本の三男坊「新さん」として庶民の暮らしに紛れながら、江戸にはびこる陰謀を暴き、「余の顔を見忘れたか、成敗!」のセリフとともに立ち回り、悪を斬る。第1シリーズでは、ちょうど分家である紀州徳川家の吉宗が、新たに将軍として江戸城の主になる姿が描かれた。俳優として新人の松平健が、将軍として新人の吉宗を演じたことが、良い意味で初々しく、役と本人をつないだ。 「見返すとヒョロヒョロして、貫禄がない。現場で知らないことがあったら、先輩に教わることも多かった」と懐かしみ、「ともに成長した。久しぶりに演じるのが楽しみ」としみじみ。