米利下げキャンペーン、年内は終了も-力強い雇用統計受けヤルデニ氏
(ブルームバーグ): ウォール街のベテランでヤルデニ・リサーチ創設者のエド・ヤルデニ氏は、4日に発表された9月の米雇用統計が力強い内容となり、経済の粘り強い底堅さを浮き彫りにしたことで、米金融当局の緩和キャンペーンは年内は終了した可能性があるとの見解を示した。
その上で、原油相場が反発し、中国が経済のてこ入れを目指す状況にあって、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局がさらなる緩和を進めれば、インフレ高進を招くリスクがあると指摘した。
また、米経済が好調でS&P500種株価指数が最高値近辺で推移している点を踏まえれば、9月の0.5ポイント利下げ決定は「必要なかった」との認識を示した。
ヤルデニ氏は米金融当局について、「彼らにはさらに行動する必要はない。幾人かの当局者はやり過ぎたことを後悔するのではないか」と、電子メールで質問に答えた。
9月の非農業部門雇用者数の伸びが全ての市場予想を上回ったことを受け、サマーズ元米財務長官も先月の大幅利下げは「間違いだった」との考えを表明していた。
サマーズ元米財務長官、9月の50bp利下げは「間違いだった」
バンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースは11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ幅見通しを0.25ポイントと、以前の0.5ポイントから下方修正した。将来の会合の結果に連動したスワップ契約でも同様の動きが見られる
それでも、米金融当局が年内は完全に利下げを打ち止めとするとの予想は、控えめに言っても例外的だ。投資家の多くは先月の利下げについて、一連の積極的な引き締めで政策金利を二十数年ぶりの高水準に引き上げた後、インフレ鈍化を受けて政策を正常化する一歩と捉えている。
ただ、BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏も11月の利下げ見送りの可能性について考えている。リンジェン氏は0.25ポイント利下げを基本シナリオとして維持しつつも、同月6、7両日の会合前に発表される雇用統計やインフレ統計が政策の軌道を決定づけるとみている。