「甘栗むいちゃいました」が、リニューアルを試みたときに「ファンから猛反対を受けた」驚きの理由
あのロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は、発売から26年となる、クラシエの「甘栗むいちゃいました」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 〔撮影:西崎進也〕 ---------- 【語る人】柿本麻理さん かきもと・まり/'73年、神奈川県生まれ。明治大学政治経済学部卒。食品会社を経て、'08年にクラシエフーズ(当時)入社。'17年から「甘栗むいちゃいました」等の素材菓子を担当。20周年、25周年のキャンペーンを手がける。 ----------
焼きたての香ばしさの秘密
発売当時、健康志向が高まっていく中で着目したのが、自然の甘さでした。ここから辿り着いたのが、栗。 それまで甘栗は、駅などで販売されている天津甘栗が一般的で、皮をむかないと食べられませんでした。面倒だったんですね。 実は、むいた栗もスーパーなどで惣菜として売られていましたが、あくまで食品の扱い。それを食べきりサイズのお菓子にし、駅やコンビニで売ったことが、大きなポイントだったのだと思います。 栗の加工にもしっかり向き合いました。日本の栗は焼いたものの皮をはがすのが、かなり大変なんです。栗きんとんや栗かのこなど、焼くよりもゆでて皮をむいて食べることに適しています。 一方で中国の栗は圧倒的に皮と実をはがしやすい。 皮をむくという手間をどうするか、当初は日本の栗を日本で機械を使ってむくことを考えましたが、品質設計上、難しかった。 そこで、中国の流通に詳しい方に相談し、中国の栗を中国で手むきしてもらう、という方法に行き着きました。 そして加工食品の会社として持っていた従来の技術を応用し、賞味期限を長くすることに成功しました。むいた栗が袋の中で酸化しないよう、酸素を極力、袋から抜く窒素置換という技術によって、焼きたての香りと品質を維持することができたんです。 この技術は今はさらに進化して、「焼いた香ばしさ O2カット製法」とパッケージに表現しています。酸素(O2)量を制御する技術によって、品質劣化の原因となる袋内の酸素を可能な限りゼロに近づけ、焼きたての香ばしさを閉じ込めています。 栗の品質も、糖度、サイズ、有機栽培など、こだわりをより強めるようになっていきました。 今は安価な競合商品もたくさん出てきていますが、こだわった品質や製法でさらなるおいしさに挑んでいることは、大きな特色です。 いろいろな調査をしたり、お客さまの声を聞く中でも、やはりこうしたこだわりが「甘栗むいちゃいました」の魅力だと言っていただいています。