猫好き集まれ、黒部峡谷鉄道の「猫又駅」 今だけ下車OK、写真送付で愛猫が名誉助役に
国内で唯一、駅名に「猫」の文字が入った黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)の「猫又駅」(ねこまた=同市)が注目されている。従来は関係者のみが利用する途中駅だったが、1月の能登半島地震の影響で不通区間が生じ、同駅で折り返し運転を行っているからだ。同社では「猫又駅」を広く知ってもらおうと、ペットの猫を同駅の「名誉助役」に任命する企画をスタート。全国の猫好きにアピールしている。 【写真】猫の名前や写真が入った名誉助役任命書のイメージ 4月中旬から11月末に運行されるトロッコ列車で観光客に人気の同鉄道は地震で橋が落石被害を受けたため、宇奈月-欅平(けやきだいら)間(20・1キロ)のうち、宇奈月-猫又間(11・8キロ)での営業が続いている。 猫又駅は工事関係者用の駅だったが、一般の乗客にも降りてもらおうと、長さ約100メートルの臨時ホームを全線復旧するまでの期間限定で設置。10月5日から使用を開始したところ、「今しか降りられない駅」として人気となっている。 同駅には渓谷の景色を眺められる展望台、猫やネズミをあしらった映えスポット、トイレ、ベンチなども整備。乗客は折り返しまでの約20分間、思い思いに「秘境駅」の雰囲気を楽しんでいる。同鉄道の今季の営業は11月30日まで。来季の全線営業を目指すが、時期は未定という。 また、同鉄道では猫又駅の乗降解禁に合わせ、猫の「名誉助役」に任命する企画を始めた。ペットの猫の写真をメールで送れば、同社が名前や写真が入った名誉助役任命書と缶バッジを作り、宇奈月駅に同30日まで展示。飼い主がトロッコ列車に乗車すれば、持ち帰ることができる。応募締め切りは同22日。なお、トロッコ列車にペットは乗車できない。 同社の担当者によると、募集から約1週間で多数の応募があり、すでに数十人が引き取りに訪れたという。詳しくは同鉄道のホームページで。 猫又駅は標高358メートルにあり、エリアには関西電力の黒部川第2発電所、新黒部川第2発電所がある。駅名の由来は諸説あり、猫に追われたネズミが登れなかった「ねずみ返しの岩壁」を追ってきた猫もまた登れなかったという話から「猫又」になったという。ほかに尻尾が2つに分かれた妖怪「猫又」がこの地に棲みつき、後に追い払われたという話に由来した説も。 ちなみに「猫」の文字でなく、「ねこ」の読みが入った駅は、ほかには大井川鉄道の「川根小山駅」(かわねこやま=静岡県川根本町)、横浜市営地下鉄の「岸根公園駅」(きしねこうえん=横浜市)、JR御殿場線の「相模金子駅」(さがみかねこ=神奈川県大井町)、JR八高線の「金子駅」(かねこ=埼玉県入間市)、新京成電鉄の「高根公団駅」(たかねこうだん=千葉県船橋市)と5駅が存在する。
川根小山は「川猫山」の別名がついており、2月22日の「ネコの日」には「ネコの日乗車券・入場券セット」を数量限定で発売するなどのキャンペーンを行っている。この日は黒部峡谷鉄道は冬季運休中のため、猫又駅は深い雪に閉ざされている。