DPワールドツアー「ドバイ招待」で優勝したトミー・フリートウッドのスウィングをAIで分析
コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」は、スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる。今回は、先週のDPワールドツアー「ドバイ招待」で優勝したトミー・フリートウッドを「スポーツボックスAI」の3Dデータをもとに、ゴルフコーチ・北野達郎に解説してもらった。
みんなのゴルフダイジェストをご覧の皆様、こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回は、DPワールドツアー「ドバイ招待」で優勝したトミー・フリートウッドをスポーツボックスAIで分析してみました。あの見事な逆転劇を生んだフリートウッドのスウィングは、 1.左ひじが伸びたまま体の回転で上げるトップ 2.胸の右側屈が大きいインパクト 3.インパクト後に伸びる右ひじ 以上の3点が主な特徴で、「前傾角度をキープしたまま振り抜く」ヒントがたくさんあります。それでは早速見てみましょう。
まずアドレスですが、グリップは左手がストロング、右手がスクエアです。まず左手をストロングで握ると、フェースは自然に閉じやすくなります。フリートウッドのようにインパクトでの胸の右側屈が多いと、グリップが左右ともスクエアだとフェースが開きやすくなりますので、左手はストロングに握ってフェースが開かないようにしています。 あえて右手はスクエアにしている理由ですが、右手もストロングに握るとバックスウィングで右脇が締まるのでトップが低くなりやすく、スウィング軌道がインサイドアウトになり過ぎて逆につかまり過ぎてしまうのを防ぐ為だと考えられます。 左右のグリップでそれぞれの目的は異なりますが、インパクトでの胸の右側屈が多いフリートウッドにマッチしたグリップです。また、アドレスの胸の「BEND」(前屈)の角度は40.7°です。この前屈角度に関してはインパクトで後述します。
次にトップを見てみましょう。トップでの特徴は、「左腕の長さが保たれている」点です。左 ひじの屈曲角度を表す「LEAD ELBOWFLEXION」は、155.3°です。スポーツボックスAI社が独自に調査した「トップでの左ひじの屈曲角度」のPGAツアーレンジ(範囲)は、134.1°~155.5°。フリートウッドは155.3°ですので、左ひじが伸びたままトップに入るタイプであることが分かります。 このトップでの左腕の長さを保つには、腕ではなく体の回転でテークバックする必要があります。胸の回転量を表す「CHEST TURN」は-99°右、骨盤の回転量を表す「PELVIS TURN」は-47.7°右と、いずれも充分な回転量があります。 このトップを作るポイントは、「テークバックで両腕の三角形を崩さずスウィングアークを長くすること」です。早めに左ひじが曲がって両腕の三角形が崩れると、このトップにはなりません。テークバックを腕で上げずに、両腕の三角形をキープしたままスウィングアークを長く取れると、フリートウッドのように左ひじが伸びたトップを取れるようになります。