札幌圏タクシー収入増 1台当たり10年で最高、4万円視野 コロナ禍で減車、稼働増
札幌交通圏のタクシー1日1台当たりの運送収入が伸びている。2023年度は3万9320円で、過去10年では最高。24年度は25年ぶりに4万円を超えそうだ。新型コロナ禍などで台数が減ったことが主な要因で、交通圏全体の運送収入はコロナ禍前を下回っている。自家用車を使った「日本版ライドシェア」が始まり、競合も懸念される中、札幌ハイヤー協会は「台数が増えすぎ、客を奪い合う事態は避けたい」としている。
札幌交通圏は札幌市と江別市、北広島市、石狩市の一部。同協会によると、1日1台当たりの運送収入は、バブル期の1991年度の4万9496円がピークで、00年度に4万円台を割り、コロナ禍の20年度は2万4120円だった。 タクシーの台数は02年の規制緩和で増加。01年度は5571台だったが、ピークの06年度は6631台となった。その後は競争激化で収入が減った運転手の離職が増え、コロナ禍による利用減、タクシー会社の廃業もあり、23年度は5010台になった。 交通圏全体の運送収入は、2000年代半ばは600億円を超えていたが、景気低迷などで14年度は458億円、19年度は399億円となり、20年度は248億円に落ち込んだ。コロナ禍で運転手の離職が加速し、人件費確保のため23年5月に14・34%の値上げを行ったが、運転手不足で一部の車両を動かせない状況が続き、23年度も361億円にとどまっている。 台数が減った上、配車アプリの普及や訪日客の利用増もあり、24年度の1日1台当たりは上半期(4~9月)で3万9498円となった。下半期の冬は利用が多く、年間で4万円台が視野に入る。多くの会社では、運転手の収入は売り上げの半分程度。平岸ハイヤー(札幌)では「1カ月の売り上げが100万円を超える運転手が5人ほどいる」という。