高校駅伝“留学生は最短区間のみ”の新ルールに賛否 箱根駅伝で2度の優勝・真也加ステファン桜美林大総監督「制限するならなぜ呼ぶのか」
桜美林大学駅伝部総監督の真也加ステファン氏は、高校生で留学来日した後、山梨学院大学時代に箱根で2度の総合優勝を果たしている。「学校のPRもあるが、高校は自校のレベルを上げるために留学生をとっている。留学生と一緒に練習して強くなる、“ケニア人に勝った”というモチベーションにもつながる。高校生も5000mで13分30秒台になってきているが、そういう交流でレベルアップしている」と話す。 真也加氏は「ルールの中でベストを尽くす」という思いの一方で、「後輩の活躍の場が狭まる」「ケニア人留学生は高校で活躍して良い大学や実業団に入ることが目標。長距離が走れないとアピールの場がなくなる」と、改正に疑問を呈している。
「こういう話が出ると“留学生はいらない”となってくると思うが、そもそも駅伝というのは日本の文化で、世界のリレーとは異なる。もちろんケニアにもない。高校が留学生を入れるのは自校のアピールのため、学校の力をつけるためのはずだ」
■「3キロ」のために呼び、その後は?
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「留学生に対しては、何らかのインセンティブを学校側は用意すると思うが、ケニアの子たちにとって日本は未知の国。結果的には大学に行けるかもしれないし、事業団に入れるかもしれないが、どうなるかはわからない。ある種、強制的に連れてくる面があるのであれば、今回の規制はそれを正すことに向かうのでは」との持論を述べる。 これに真也加氏は「無理やり連れてくることはない。強くなったらお金になる、言語を勉強すれば日本の企業で働けるといったことをもちろん説明する。それで日本に行きたくなければ、ヨーロッパでもいい。ただ、日本に行ったものの、入りたい企業に入れず返されるケースもあって、そういう子が『日本行っても返されるよ』とマイナスイメージを伝えることもある」と説明。
一方、酒井氏は「実際、ケニアではキャンプで練習して、優秀な選手しか日本に来られない。一部の地域では駅伝も浸透しているので、日本の強い大学に行きたいという選手もけっこういる」と伝えた。 とはいえ、「3キロ」のために呼ぶ必要はあるのか、留学生側はメリットを感じるのか。真也加氏によると、あくまで呼ぶのは駅伝のためで、1500m、5000mなどは“オプション”になるそうだ。