ローマの歴史と伝統の賛美者、レスピーギのこだわりを聴く『ローマの松』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
レスピーギ『ローマの松』 ローマの歴史と伝統の賛美者、レスピーギのこだわりを聴く
今日12月14日は、イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)の交響詩『ローマの松』の初演日です。 『ローマの噴水』『ローマの祭り』とともに、「ローマ三部作」と呼ばれるこの曲は交響詩の傑作です。「交響詩」とは、物語や詩などを題材とした管弦楽作品のことで、『ローマの松』は、いにしえの時代からローマのシンボルとして存在し続ける松を通じて、古代ローマ帝国への憧れが色濃く表現された名作です。 その内訳は、「ボルゲーゼ荘の松」「カタコンベ付近の松」「ジャニコロの松」そして「アッピア街道の松」の4曲。名高い「アッピア街道の松」では、古代ローマ帝国時代に競技や戦いの中で兵士を鼓舞するために吹き鳴らされていた金管楽器ブッキーナを再現して使用するなど、ローマの歴史と伝統の賛美者であったレスピーギのこだわりが随所にみられる意欲作です。 ちなみに古代ローマの進軍道路として使われていた石畳造りのアッピア街道は、当時の面影そのままに現在も残されています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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