ウェッジ何本入れている?ロフトピッチは?その理由を探る/女子プロクラブ考VOL.9
昨年の秋口に大々的な女子プロのクラブ調査を行ったが、彼女たちがどんなクラブを使って、どんなスペックなのかはほぼ同じヘッドスピードの我々のクラブ選びに大いに参考になるだろう。膨大なデータを元に、女子プロの傾向をギアマニアが分析・検証していく。9回目はウェッジのロフトピッチについて。
52度、58度の 2 本入れとけばいいんじゃないの?イマドキの女子プロウェッジ本数
「ウェッジは何本入れてますか?」と聞かれたら“ゴーニー、ゴーハチ”あるいは“ゴーマル、ゴーロク”の 2本と答える人が多い。「あれ?PW もウェッジでしょ?」と思うかもしれないが、アイアンセットに含まれているという認識が一般的。なので PW以外のウェッジをカウントすることにしよう。 アマチュアゴルファーでは 2本というのが圧倒的だが、今回調査した女子プロ 40人の中では 8人と少数派。最多は原英莉花の 4本(45 度、49 度、55 度、58 度)。というのもアイアンセットが 6~9 番までとなっており、PWの代わりに 45度を入れている。米男子ツアーでよく見られるセッティングだ。高い技術が必要だが、スピンを微細にコントロールすることで、イメージ通りにグリーンを狙える。ちなみに国内男子ツアーでウェッジ最多の選手は石川遼で 5本。こちらはアイアンセットが 8番までとなっており、 9番の代わりに 43度のウェッジを入れている。同じロフト角の場合、ウェッジ形状のほうがスピン量が増える構造のため、アイアンセットの PWより飛距離は落ちることをお忘れなく。
40 人中 31 人がウェッジ 3 本体制。何が変わった?
アマチュアの我々は 2本体制が一般的だが、女子プロのウェッジが1本増えた背景にあるのは、アイアンセットのストロングロフト化、つまりロフト角が減ってきていることが大きい。 7番アイアンのロフト角が少なくなると、PWのロフト角も総じて少なくなる。以前は 48度前後だった PWは、46度、44度が主流となってきた。PW の次、いわゆるアプローチウェッジ(以下 AW) が52度とすると、46度だとその差 6度、44度になると 8度と、大きく番手間のロフト角が空いてしまう。そのため、PWから繋がるウェッジのロフト角 46度から 48度を選んでいる選手が 31人中17人と増えているのだ。 46度を選んでいるのは、テーラーメイド 「STEALTH GLOIRE アイアン」(PW 41度)を使う金田久美子、タイトリスト「T350 アイアン」(PW 43度)を使う菊地絵理香など“飛び系”アイアンユーザーが多い。48度のウェッジを使うのは、7番アイアンのロフト角が 30度のミズノ「JPX 923 FORGED」(PW 44度)を使う西郷真央、7番 30.5度のテーラーメイド「P790」(PW 45度)を使う山内日菜子など 13名(残り 1名は小祝さくらで 47度を使用)。そして、PWのロフト角が 45度と大きめのピン「i230」を使う佐久間朱莉と渋野日向子は 50度を選択。PW の次のウェッジが 50度という選手は 8名となっている。 PW と AWの番手の間に 1本入れている選手が多く、更には 52度ではなく、50度を選ぶ選手も目立つ。スコアメイクに一番繋がる 100ヤード前後の距離を微細にコントロールできるよう、番手間のロフト角の差を大きくなりすぎないようにしている。PWと AWの間に、ストロングロフト化する以前アイアンセットの PWと同じロフト角のウェッジを入れるのは、飛距離の階段の段差が極端になることを嫌ってのこと。52度ではなく50度を選択した選手もそうだろう。男子ツアーの選手よりもロフト角設定が立っているアイアンを使う女子ツアーならではの傾向かと思う。