誰もが最善の医療を 徳田さん、原点は救急・離島へき地 全国に76病院400施設
鹿児島県徳之島で少年時代を過ごした徳田虎雄さん。立ち上げた徳洲会は、今や全国に76病院を含む400施設。半世紀で国内最大の民間医療グループとなった。原点は救急医療と離島・へき地医療。「いつでも、どこでも、誰もが最善の医療を受けられる社会」を目指した人生だった。 国内外で医療改革を推進してきた原点について、医療法人徳洲会の東上震一理事長は「徳田先生の活動の原点には、小学生の時分に幼い弟を夜間、医師に診てもらえずに亡くされた悲しみや怒り、恐怖があった」と振り返る。 医師になり、離島への病院建設にまい進。人口が少ない地域の病院は、慢性的に医師不足で病院経営も赤字経営を余儀なくされる。徳洲会グループはこうした離島・へき地の病院を都市部のグループ病院で支える「徳洲会方式」の経営で持続させてきた。 徳洲会病院関係の事業者でつくる名瀬徳友会の前園裕史会長(59)は「名誉理事長とは18歳の時からの付き合い。計り知れないことを実現する有言実行の人だった」と語る。離島医療の側面だけでなく、経済効果の功績についても触れ「今後の奄美がどう変わっていくか、徳洲会の組織が保てるのか不安だ」と話した。 訃報を受け、東上理事長は「徳田先生が掲げた徳洲会の理念と遺産を受け継ぎ、患者さんのために安心安全で質の高い医療を実践していく」とコメント。大島郡医師会の稲源一郎会長は「医療法人の理事長時代、100施設余りの病院・診療所を開設され、医療会に大きな影響を与えた方。奄美人としてあれほどバイタリティーにあふれた方はそういません。謹んでご冥福をお祈りいたします」とコメントした。