気軽に楽しめるライブ、2部制で低料金実現 大阪のジャズクラブ、若手奏者支援も
アニメ映画「BLUE GIANT」のヒットや他ジャンルの音楽との融合などで、若者からも注目されるジャズ。もっと気軽にライブを楽しんでもらおうと、コストパフォーマンスと若手奏者の支援にこだわったジャズクラブ「ガロン」が今春、北新地にほど近い大阪市北区にオープンした。(共同通信=井上康太郎) 同じ場所にあって、ロン・カーターさんら世界的なプレーヤーも演奏した有名なジャズクラブが、昨年7月に閉店。客として通っていた開業医三田浩司さん(61)が、名店がなくなるのを惜しみ、再出発させた。 ファンの裾野を広げるため、初心者にとっては長い2時間前後のライブを前後半の2部制に。通しの半額に近い料金で、どちらかだけでも楽しめるようにした。三田さんは「コスパと効率よく楽しんでもらうタイパ(タイムパフォーマンス)を重視した」と話す。 背景には、1960年代までのジャズ全盛期を知る世代で、ライブに来る客層が減っているという危機感がある。食事や飲み物の値段を低めに設定するなど、新規開拓につなげるための試みを続けている。
ライブは原則として木―日曜に開催。記者が訪れた日は月1回の若手応援企画の日で、大阪音楽大生の白瀬晴花さん(22)がリーダーを務めるクインテットが登場した。色とりどりの光に照らされるなか、テナーサックスの白瀬さんをはじめ、20~30代のメンバーがトランペット、ピアノなどのソロを次々と披露。一人静かに聞き入る人もいれば、同伴者と食事をしながら楽しむ人もいた。 ガロンの舞台は55の客席と高低差がなく、距離が近いのも魅力の一つ。終演後、「素晴らしかった」と白瀬さんに声をかける人や、他の出演者と語り合う外国人の姿もみられた。 プロ志望で、今回の若手支援の公演が貴重な経験になったという白瀬さん。「お互いの音を聞き合い、音楽で会話できるのが楽しい。ライブならではのプレーヤー同士の掛け合いを楽しんでもらえたら」と話している。 「BLUE GIANT」 石塚真一さんの人気漫画。世界一のジャズ奏者を目指し、テナーサックスの腕を磨く宮本大が高校卒業後、仙台から上京、仲間と刺激し合って成長する姿を描く。昨年公開されたアニメ映画では、ジャズピアニストの上原ひろみさんが音楽を担当した。欧州を経て米ニューヨークに舞台を移した続編漫画が「ビッグコミック」で連載中。